「東上線が開業したのは1914年のことで、東上鉄道として最初にできた駅は9つ。そのとき、川越駅はまだなかったんです」(眞塩管区長)
眞塩管区長が話すとおり、現在の川越駅は東上線の開業から遅れること約1年、1915年になって川越西町駅として開業した。東上線開業時点では、川越市駅(当時は川越町駅)が川越の町の玄関口の役割を担っていた。
そこに川越西町駅が開業し、次いで1940年に現在のJR川越線が開通して乗り入れ、駅名は川越駅に改められる。以後、川越の町の中心は徐々に川越駅側に移ってゆき、1989年には橋上化。JRと東武の改札も分けられて、駅前の開発も進んで現在の形になったのだ。
川越駅は駅前のペデストリアンデッキに立てばわかるように、まさに川越の玄関口たるにぎわいを見せる。さすが、埼玉県内ではさいたま市・川口市に次ぐ人口第3位の都市だ。
ここで気になるのは、東上線におけるもう1つの川越の玄関口・川越市駅。前述のとおり、歴史的には川越駅よりも川越市駅が先んじている。いったい、どんな駅なのだろうか。教えてくれたのは、東武川越駅管区で川越市駅長を務める加川清治さん。
「川越にいらっしゃる方で、だいたい上り方から来られる方は川越駅、下り方からだと川越市駅を使われることが多いですね。あとは地元の学生さんや通勤の方の乗り換えですね」(加川駅長)
西武の本川越駅に西口
その乗り換え先は西武新宿線の本川越駅だ。これまで、本川越駅と川越市駅の間で乗り換えようとすると、本川越駅の東側(つまり川越駅側)へ大きく迂回する必要があった。ところが、2016年に本川越駅に西口が開設された。それによって、乗り換えの便が大幅に向上。それは数字にも表れているという。
「本川越駅に西口ができる前と比べると、川越市駅のお客さまは70%も増えたんです。年間の数字で言うと、約370万人だったのが630万人ほどにまで。ぐるっと回って10分以上かかっていた乗り換えがいまでは一本道ですからね」(加川駅長)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら