東上線ときわ台、南宇都宮と「駅舎そっくり」の謎 大谷石と三角屋根、東武「理由はわからない」
青い三角屋根と大谷石の壁が特徴のモダンな建物――。東武鉄道東上線のときわ台駅舎(板橋区)は、高架化や駅ビル化が進んだ都区内では極めて貴重な、昭和初期の雰囲気を今に伝える駅だ。
同駅が「武蔵常盤駅」として開業したのは1935年。東武初の沿線開発として翌年から駅周辺で分譲を開始した「常盤台住宅地」の玄関口としてつくられた。駅から放射状に広がる道路や地区内を一周できる環状の散歩道など、画期的な街づくりで知られた同住宅地のシンボルにふさわしいデザインといえる。
実は、東武線にはときわ台駅とよく似た形の駅舎がまったく別の場所に存在する。大谷石の産地に近い、宇都宮線の南宇都宮駅(栃木県宇都宮市)だ。開業はときわ台駅より早い1932年。三角屋根と大谷石の壁という姿は一見するとそっくりだ。
昭和初期、離れた場所に建てられた2つの駅。どんなつながりがあるのだろうか。
青い屋根と大谷石の壁
ときわ台駅舎は木造平屋建て。特徴は、「スペイン瓦」と呼ばれる青い瓦の屋根と、その下にある「破風板」と呼ばれる部分に施された波状の凝ったデザイン、3つ並んだ縦長の窓、そして幾何学模様を凹凸で表現した大谷石張りの壁面だ。同駅は2018年、開業時のデザインや塗装を再現してリニューアルされ、往時の姿を取り戻した。
「当時としては本当にモダンな駅舎で、力を入れて造ったんだなと感じました。当社として初めて住宅地を分譲するんだという意思表示が駅のデザインにも反映されたのかなと、個人的には思っています」。前部署で駅舎のリニューアルを担当した、施設部川越工務施設管理所課長補佐の塚越勇人さんは語る。
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