さて、川越駅から霞ヶ関駅までを見てきたが、東上線における川越を取り巻く駅はほかにもある。それらの駅も続けて歩いてみることにしよう。
最初は川越駅から1つ上り方に進んで新河岸駅。その名の通り、新河岸川にもほど近い(といっても10分以上は歩く)駅で、橋上駅舎の自由通路には新河岸川で栄えた舟運の絵が飾られている。
「新河岸の駅舎は2017年にできた新しいものです。昔は新河岸川の舟運があって鉄道ができるまでは栄えていたようですが、いまは観光というほどのものは……。主に、通勤のお客さまの駅になっていますね」(眞塩管区長)
新河岸駅には駅舎直結のマンションがあり、なんでも女性専用ですぐに埋まってしまうほどの人気ぶりだという。東京都心からもさほど遠くなく、かといって川越の中心地からは離れていて静かで過ごしやすく家賃も安い。そうした事情から、“暮らす町”として人気が高まっているようだ。
そんな真新しい駅舎を出ると、駅前もこれまた真新しいロータリー。ただ、そのロータリーにそっぽを向いたように昔ながらの商店街がある。2017年に新駅舎が完成するまでは、少し上り方に地上駅舎があった。その駅前を中心に商店街が成立し、それが駅が移転してからも残っているのだろうか。
東武初の橋上駅の古レール
新河岸からさらにもう1駅上り方に進むと、ふじみ野市に入って上福岡駅だ。1914年に東上線が開通したのと同時に開業したオリジナル駅の1つ。1959年に現在の橋上駅舎になった。
「東武鉄道では初めての橋上駅なんですよ。だからなのか、古いレールで駅舎を支える骨組みを組んでいたりして、よくよく見るとレールを製造したカーネギー社の刻印もあるんです」(眞塩管区長)
古レールはホーム上屋の支柱などではよく見かけるが、橋上駅舎の骨組みに使われているのはなかなか珍しいのではないかと思う。確かに近年あちこちで見られる橋上駅とはまったく違ったレトロな雰囲気をたたえている上福岡駅である。
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