金価格が本格的に上昇に転じるのはいつなのか アメリカの利上げで目先停滞でもいずれ上昇へ

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金価格は今年前半1トロイオンス=2000ドル台をつけていた局面もあったが、直近は不振。本格的に反転する時期はいつになるのだろうか(写真:ブルームバーグ)

いよいよ、高インフレが企業業績にまで影響を及ぼし始めたのだろうか。アメリカのNY(ニューヨーク)ダウ平均株価は9月末に前月末比8.8%下落した。この下落率は、新型コロナウイルスの感染拡大で市場がパニックに近い状態に襲われた2020年3月以来の大きさだ。すでに伝わっているが、9月末に相場の足を引っ張った銘柄の1つはナイキ。直近の3カ月決算は前期比で20%の減益。在庫の急増も明らかになり、同日は1日で13%も下落した。

金融引き締めで景気は抑制、企業業績悪化が現実に?

6月までは、市場参加者の大方の見方は「利上げは2023年前半には終了、その際の政策金利(FFレート)は3.8%程度で打ち止め」というものだった。

だが、9月20~21日のFOMC(連邦公開市場委員会)では3会合連続で0.75%の大幅利上げが決定。これは市場の想定内だったが、同時に発表された「ドットチャート」と呼ばれるFRB(連邦準備制度理事会)の理事や各地区連銀総裁による見通しでは、2023年に4.6%程度にまで政策金利が引き上げられるとの見方が示された。

つまり、この約3カ月の間に、見通しが0.8ポイントも上方修正されたことになる。また2022年も最終的に4.4%まで金利が上昇するとの見通しが示された。つまり11月と12月の残り2回のFOMC会合で、合計1.25%の追加利上げが打ち出されることを意味しているからだ。FRBは高止まりするインフレを抑え込むために積極的に利上げを進めるとの強い意志を改めて示した。

これまでは、なんだかんだ言っても政策金利は「中立金利」(景気によい影響も悪い影響も与えない水準=2.5%程度)を下回る、景気を刺激する緩和的な水準にあった。

だが、今後はついに景気を抑制する領域に入る。景気悪化のペースが速まるのは必至であり、企業業績にも遅かれ早かれ深刻な影響を及ぼしそうだ。冒頭のナイキの在庫急増の話は消費者が生活必需品以外の支出を捻出できなくなってきたひとつの証左かもしれない。

市場はすでにインフレの高進や大幅な利上げに関しては、かなりの部分を織り込んだと思われるが、景気の一段の減速や景気後退に陥る可能性、企業業績の悪化に関してはまだ十分に織り込めていない。今後、企業業績で弱気のデータが相次ぐようになれば、株価下落が一段と進むことも十分にありうる。

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