なぜ話してもいけないのか。理由は日本の独占禁止法にあたる反トラスト法の存在だ。同法では同業他社同士の情報交換による価格の談合など、自由な競争を阻害する行為を禁じている。「ライバル会社の社員と絶対に話すなよ」というアドバイスを「気にしすぎ」と思う方は認識を改めたほうがいいかもしれない。
現実として2010年代にはアメリカで日本有名企業の30人を超える幹部が反トラスト法で逮捕され、刑務所で服役している(【独自】車部品カルテル10年 米で収監元幹部「風化させぬ/中日新聞Web/2022年4月18日配信)。
もしかすると私の聞いた「何百人」というのは言いすぎかもしれないが、ある雑誌でこれまで数百人規模が逮捕されているという推測記事を私は目にしたことがあるし、あながち的外れではないかもしれない。
ここで重要なのは、日本企業の甘さが明らかな点だ。日本人は同じ日本人であれば意気投合しやすい。同業他社でも親密になる。また異国で出会ったら、日本人かつ同業他社だからと一緒に行動してしまう。しかしこれがアメリカでは、談合行為とみなされてしまうのだ。
もっともアメリカだけではなく日本であっても、競合他社とは少しの触れ合いであってもリスクだと感じるくらいがちょうどいいだろう。とくに、競合他社からデータを入手するのはご法度と思ったほうがいい。
かっぱ寿司の入手した“価値ある”データ
ところで、私はコンサルティング業務に従事しており、以前、ある国内大手メーカーが外資系大手と合併した際に現場レベルでもっとも大きな成果が「調達価格表が入手できたこと」だったと聞いたことがある。
類似部品ごと、取引先ごとの調達価格に差があることがわかったという。交渉しても安価に入手できないのであれば、調達先を変更すればいい。その判断の基準になる。コスト競争力の向上にかなりの寄与をしたという。
これは合法的に競合企業の営業秘密を入手した例だ。では、かっぱ寿司はどうか。
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