スノーピーク「社長辞任」の直前に迎えていた転機 梨沙氏就任後初の下方修正、再値上げ見送りも
値引きを極力抑えた価格施策や、大規模な広告宣伝よりもイベントなどを通じたファンビジネスを重視する戦略を徹底し、2021年12月期の営業利益率は14.8%を記録。同業のアルペン(2022年6月期実績は3%)などと比べはるかに高く、アウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」を展開し、高収益で知られるゴールドウイン(2022年3月期実績は16.7%)に匹敵する水準だ。
ところが2022年夏に様子は一変する。辞任が発表される約1カ月前の8月上旬、梨沙社長体制下で初となる下方修正を公表。これに株式市場は大きく反応し、発表した翌営業日の株価はストップ安にまで急落した。現在も株価は従前の水準に戻りきっていない。絶好調だったスノーピークに、いったい何があったのか。
7、8月の国内売上高は前年割れに
スノーピークは8月12日、2022年12月期の連結業績予想について、売上高を318億円(期初計画は327億円)、営業利益を38億5000万円(同52億3200万円)にそれぞれ下方修正した。
主な原因は、成長を支えてきたキャンプ初心者層の購買が7月以降減少したことにある。コロナ禍に突入してから初めて行動制限のない夏休みとなったことや猛暑が影響し、キャンプ需要が一時的に落ち込んだとみられる。
月次速報を見ると、2年近くにわたって前年超えを続けてきた国内売上高は、7月に前年同月比91.7%、8月に同89.7%へと転じている。とくにファミリー層を中心に、新しくキャンプを始める動きが鈍化。テントなどの高単価商品の売り上げが低迷し、客単価も減少した。
収益性の面でも試練にさらされている。
スノーピークは昨今の急激な円安を踏まえ、原材料の仕入れに関わる想定為替レートを期初の1ドル=115円から1ドル=135円に見直した。これが粗利益ベースで約6億円の減益要因になるという。下期に想定される資材価格の高騰も織り込んだ結果、右肩上がりが続いてきた営業利益率は今期12.1%(期初計画は16%)に低下する予想だ。
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