ユニクロ「秋冬の慎重値上げ」に透ける周到な準備 フリース1.5倍値上げ、一方で据え置く定番品も
8月中旬、東京・銀座の中央通り沿いにたたずむ「ユニクロ銀座店」。気温30度超の炎天下、半袖やサンダル姿の来店客とは対照的に、店内のマネキンは秋めいた装いへと変わっていた。
秋冬物のパーカやジャケットと並んで置かれているのは、ユニクロのコア商品の1つ、「ウルトラライトダウンジャケット」だ。2021年は税込5990円だったが、値札を見ると、同6990円と2割近く値上がりしている。
ユニクロが秋冬の一部商品で値上げを行うという一報が6月、全国を駆け巡った。ユニクロを象徴する商品のフリースも対象に含まれたことから、「ユニクロ値上げ」というニュースは大々的に取り上げられ、瞬く間に世間に広まった。
しかし実は、値上げする品番数や値上げ率など、詳細な情報は会社からほとんど公表されていない。6月に報じられたのは、秋冬商品の展示会で価格が明らかになった5品番のみ。ウルトラライトダウンのほか、フリースが約5割、ヒートテック(極暖・超極暖)が3~5割、女性向けカシミヤセーターが約1割値上げすることが判明している。
通常のヒートテックは990円を据え置き
今般の値上げは、世界的な原材料価格や輸送費の高騰、そして円安による輸入コストの増加が主な要因だ。「考えに考え抜いた商品構成で、(ユニクロの)価値やお値打ち感を訴求していく」。7月の決算会見で、ユニクロを展開するファーストリテイリングの岡﨑健CFO(最高財務責任者)は、秋冬以降の価格戦略についてそう語っていた。
店頭やオンラインストアで秋冬商品が並び始めた今、ようやく一端が見えてきたその戦略の中身。商品の入れ替えなどで単純比較できないものもあるが、多くの商品は2021年の価格を据え置くとみられる。
例えばヒートテックは、防寒機能を高めた極暖と超極暖は値上げする一方、通常モデルは990円で据え置いている。同様にウルトラライトダウンも、ジャケットは値上げするものの、コートやスーツの下に着られる薄手のベスト型の商品は3990円のままだ。
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