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「ミシンのブラザー」知られざる5段階変身の全貌 基盤技術を横展開、不振事業・失敗例も諦めない

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  • 高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント
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「時代が違う」という声も出てきそうだが、企業DNAの視点では、スマートすぎる現在の社員が歯がゆいのだろう。社長の佐々木氏も「大企業ではないのに、大企業病にかかっている」と自社に対して危機感を持つ。業績が安定している今だからこそ、チャレンジしてほしいのだ。

1936年の「工業用本縫ミシン」(左)と現在の「工業用ミシン」(中央)、現在の「家庭用ミシン」(右)(写真:ブラザー工業)

「英語は社内公用語にしない」

ブラザーという大型船の進路を転換する際、(多少の不満を抱きながらも)従業員に納得して業務を担ってもらうため、経営陣が用いるのが対面とオンラインで行う“社内対話”だ。

特に小池氏は熱心で、長年「テリーの徒然日記」というブログで自分をさらけ出し、従業員との距離を縮めてきた。公式の経営メッセージとは別のカジュアルな内容だ。社長交代を機に終了したが、再開を望む声が多く、現在は2週間に1度、「テリーの徒然日記・リターンズ」を配信している(基本は日本語版)。

また、コミュニケーションとして興味深いのは、海外売上比率が85%の会社にもかかわらず「英語は社内公用語にしない」を貫く点だ。

「もちろん海外との接点が多い部署の従業員は、英語や中国語などのコミュニケーションが求められます。それは個々人が習得すればよく、会社も語学習得費用を補助しています。でも大切なのは、自分の考えていることを外国語で伝えることができる能力です」

そう話す小池氏は、「日本人同士の社内公用語を英語にするのはナンセンス」と断言する。

最後にブラザーの中長期的な立ち位置を聞いてみた。

「IT業界の周辺にいなければならないけど、中核を担う立場ではない。これまでやってきたように独自の存在感を発揮したいと思います」

アメリカ流ではなく、日本企業的な手法で独自性を打ち出す姿勢は変わらない。

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