米国株はどうなる?「重要な7つの質問」に答える 景気後退リスクが高まり、株価はさらに下落?

拡大
縮小

――アメリカでの賃金上昇も、大きなインフレ要因として無視できないが、今後はどうなるのか。

アメリカの雇用情勢はまだ人手不足が続いており、賃金の上昇圧力が根強い。しかし、求人数は依然高水準とはいえ、ピークアウトはしている。また雇用統計を見ると、「週当たり労働時間」は前年比で減少基調にある。

これは、企業がコロナ禍後の景気回復や労働者不足に慌てて採用を積極化したが、結局、雇用者を増やしたほどは仕事量が増えていない(そのため、残業や休日出勤の時間が減っている)ものと推察される。

とすれば、求人が減りつつあるのは当然だろう。すぐではないだろうが、労働市場の逼迫感が一段と緩和され、賃金上昇率もいずれ穏やかなものとなるだろう。

今後のアメリカの長短金利はどうなるのか

――連銀が大幅な利上げを継続する姿勢を強めているが、利上げがさらに加速する可能性もあるのではないか。

まだCPIなど主要な物価指数の前年比は高止まりすると見込まれる。そのため、連銀は利上げを行い、景気を傷つけても需要を減退させ、結果として需給緩和からインフレを抑えよう、との姿勢を維持しよう。

しかし前述のように、さまざまな面から考察して、インフレは徐々に沈静化すると予想される。そうなれば、連銀が先行き利上げ幅を縮小することがあっても、拡大することはないだろう。

FOMC(連邦公開市場委員会)の結果が判明した9月21日は、アメリカの株価指数はザラバ高値から大きく崩れた。これはFOMC参加メンバーの先行きの金利予想について、次回11月のFOMCで「4会合連続の0.75%利上げ」となる可能性が高まったことが嫌気されたためだろう。

しかし、その金利予想によれば、12月は0.5%、来年は追加で0.25%(ただし0.5%を予想する向きも多い)と、利上げ幅縮小を見込むメンバーが「今のところは」多数だ。そうした利上げ幅の縮小シナリオは、先行きのインフレの緩和と整合的だ。

とすれば、21日の株価下落は、現時点で考えられる限りの最大限の利上げシナリオを織り込みきったものと推察される。

次ページ今後も金利上昇なら株価下落だが・・・・・・
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