がんばるな!合理的手抜きが成果をあげる 「がんばり」が有害化している事例は多い

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その行き過ぎた「がんばり病」の末路が、公務員や企業の不祥事だ。警察の検挙数水増しや証拠捏造、関西テレビの「発掘! あるある大事典Ⅱ」の捏造事件など、とんでもない不祥事が増えている。それだけではない。「がんばり病」は、成果が上がらなくても精いっぱい努力をすれば認められ、ミスをして会社に迷惑をかけても心から反省すればたいがい許してもらえるという、甘い風土までも生んでいるという。

「人の倍働け」といった時代遅れのモットーを部下に押し付けるわりに成果を出せない課長、ありがた迷惑な熱血教師、張り切りすぎる自治会長などを例に、「がんばり主義」が周囲に迷惑をかける構図や、熱意だけで採用した人事が失敗に終わった例なども紹介。これらの『がんばると迷惑な人』のエピソードは、「こういう人、いるいる」と思わず苦笑いしてしまうだろう。

「がんばり病」をこじらせた日本人

このように、本書の前半では、1990年代を境に起きた社会の変化と、その中で選択を誤り「がんばり病」をこじらせた日本人の姿をわかりやすく解説。そして後半は、仕事の質を高めるための具体案を提示している。

大事な仕事とそれ以外の仕事に仕分ける方法や、「テキトー」な人付き合いなど、筆者が実践して成果を上げている効率化をはじめ、「がんばり病」を予防して成果を上げる秘訣として「合理的な手抜き」を推奨する。

開発ならどれだけ性能のよい製品を開発したかなど、仕事の目的や目標を見失わなければ、そこに至るまでのプロセスは各自で工夫して要領よくこなせばよいという手法だ。このほか、制度面の工夫や組織のフラット化だけでなく、オフィスのレイアウト変更などを薦めているのも興味深い。

また、今の時代、異質な能力と個々の主役意識を生かした「異質性を軸にしたチームワーク」でなければ、イノベーションは生まれないし、大きなプロジェクトを成功させることはできないという。

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