引退・消滅の危機、必ず後世に残すべき車両16選 人気車両ではなく鉄道史的な観点から選んだ

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205系は201系に次ぐ形で1985年に登場、ステンレス製の車体の電車を全国的に広めるきっかけとなったほか、走行機器ではボルスタレス式の台車を導入するなど、構造の簡素化や軽量化を図った国電の集大成とも言える車両として知られている。

こちらは国鉄がJRとして分割・民営化したあとも造られたが、すでにJR東日本では引退の時期を迎え、首都圏で登場当時の姿を留める車両は現役を引退している。

このほか、JR東海では国鉄末期からJR東海発足後に導入した車両の置き換えを進めており、2026年頃には完了する予定だ。これにより、引退する車両の1つが211系という車両だが、こちらもJR東海発足当時に導入した在来線の主力車両として保存する意義があるのかもしれない。205系と同世代の車両で、先のクモハ42と同じく中距離向けに造られた車両だ。

旅客会社で消えゆく機関車

JR東日本をはじめとするJRの旅客会社では電車や気動車といった自走する車両が主力となっていて、機関車が不要となる体制ができつつある。現在では機関車を使った旅客列車は少なく、事業用として使用されるばかりで、JR東日本では機関車を全廃する方向で後継車両の導入が進んでいる。

機関車の引退が近いが、このうち電気機関車のEF65形1000番代は寝台特急(ブルートレイン)から貨物列車の牽引まで幅広く使用される機関車で、JR貨物でも使用されている。1969年の登場から50年以上が経過、現存の車両も登場から40年以上が経過したものばかりで、JR貨物の保有車両も淘汰が進んでいる。

EF65形は京都鉄道博物館に保存されているものの、EF65形1000番代は事実上の保存車両がない。昭和から平成・令和の時代にわたって汎用的に使用された電気機関車として1両くらいは保存されても不思議はないだろう。

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