引退・消滅の危機、必ず後世に残すべき車両16選 人気車両ではなく鉄道史的な観点から選んだ
埼玉にある鉄道博物館と京都にある京都鉄道博物館などには、鉄道の歴史を語るうえで欠かせない車両が保存されている。現役の車両についてもこれから引退が予定されている車両があるほか、引退後も博物館に収容されずに保管されている車両もある。博物館に収容して後世に残すべき車両はどれなのか。考えてみた。
西武鉄道はかつて貨物輸送を行っており、この名残で歴代の電気機関車を保管している。これらの電気機関車は西武秩父線の横瀬にある横瀬車両基地で保管され、一般公開で展示される。
横瀬車両基地で保管している電気機関車は6両あり、E851とE31という機関車は西武鉄道が独自に発注して造られたものだが、残る4両は日本の電気機関車の黎明期に造られたものを譲り受けている。この4両は大正末期から昭和のはじめに登場したもので、日本に輸入された希少な電気機関車でもある。
2つ窓のE43は1930年イギリス・イングリッシュ・エレクトリック製、3つの細い窓を持つE52は1924年スイス・ブラウン・ボベリ製、平たい屋根のE61は1923年アメリカ・ゼネラル・エレクトリック製、茶色のE71(ED10)は1923年アメリカ・ウェスティングハウス製で、3つの国から輸入している。いずれも、国鉄・JRの前身となる鉄道省が導入し、その後譲り受けたもので、E43は青梅線の前身となる青梅鉄道が導入、路線の買収で鉄道省の保有となっている。
当時でも国産の電気機関車があったとは言え、これらの電気機関車の実績によって日本の電気機関車が広まったのも事実で、当時を語る「生き証人」とも言えるだろう。
JR西日本下関総合車両所の旧型国電
JR西日本の下関総合車両所では、昭和初期に造られた鉄道省の電車が2両保管されている。
その2両は、1928年製造のクモハ11(クモハ11117)と1934年製のクモハ42(クモハ42001)で、ファンの間で旧型国電と呼ばれている電車だ。
クモハ11は国電と呼ばれる国鉄の電車のなかで、鋼製の車体を初めて採用した車両に当たる。それ以前の国電では木製の車体を採用していたが、クモハ11の2世代前の車両がモハ1としてJR東海のリニア鉄道館で保存されている。
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