引退・消滅の危機、必ず後世に残すべき車両16選 人気車両ではなく鉄道史的な観点から選んだ
また、同時期につくられたディーゼル機関車も淘汰の時期にある。このうち、除雪作業で使用するためのラッセル車も世代交代が進み、JR東日本やJR東海ではすでに引退、JR西日本の車両も引退に近く、JR北海道でも近く引退となるだろう。そのラッセル車は1967年に登場したDE15と呼ばれるディーゼル機関車で、夏季はラッセルヘッドと呼ばれる雪かきの部分を取り外して一般のディーゼル機関車と同じように使用できるという特徴がある。
このほか、乗客が利用する車両や機関車は親しみを持ちやすいが、貨物列車で使用される貨車や、かつて鉄道で行われていた郵便・荷物輸送で使用された車両は注目されにくい。
貨車の例では、国鉄のワム80000が保存に値する車両なのかもしれない。この車両は1960年に登場してから26000両あまりが造られ、全国各地で使用された。ワム80000は側面が襖(ふすま)のような構造ですれ違いに開く「総開き」という構造で、フォークリフトなどを用いた機械荷役(積み下ろし)に対応したことが特色だった。
郵便・荷物輸送列車は?
JR発足後も使用されたが、JR貨物では紙輸送で使用していた車両を最後に2012年に引退、JR東日本で救援用として残されていた車両も2020年に廃車・解体されている。この車両も残された車両はあるものの、野ざらし状態のものばかりだ。
また、かつては北海道や九州を中心に炭鉱が数多く存在したが、産出された石炭は鉄道で運ばれていた。その名残として、石炭を運んだ貨車(石炭車)も保存するのも良いだろう。若松駅前には石炭車のセム1が保存されている。九州で石炭が採掘されていた頃の生き証人だ。
さらに、郵便・荷物輸送で使用された車両では、JR東日本にクモユニ143という車両が残っている。といっても書類上は廃車となっていて、1両が長野総合車両センターで入換用として、もう1両が埼玉にある東京総合訓練センター内で、訓練用の設備として使用されている。
郵便・荷物輸送の用途は失っているものの、車内は現役当時の姿を残していて、郵便室には区分棚があって、郵便物の仕分けを行う設備がある。
先のラッセル車ともに、貨車や郵便・荷物車は裏方に近い車両だが、これも過去に活躍した車両として現物を後世に残しておくのも良いだろう。
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