引退・消滅の危機、必ず後世に残すべき車両16選 人気車両ではなく鉄道史的な観点から選んだ

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クモハ11に希少な価値はあるのだが、飯田線で使用されてた同形のクモハ12がリニア鉄道館で保存され、JR東日本でも鶴見線で使用されていたクモハ12も保存に向けた動きが進んでいるとなると、クモハ11を保存する意義は薄いのかもしれない。ちなみに、クモハ11は片方にしか運転台がないが、クモハ12は両端に運転台があり、1両で走行できるという違いがある。

クモハ42は全長20mの電車で、扉は前後2箇所・車内の座席配置は向かい合わせのクロスシートと、クモハ11よりも時代が進んで進化した過程がある。こちらはJR化後も使用され、小野田線で2003年に引退するまで70年近くの長寿を保った。第二次世界大戦前から存在した中距離向けの電車で、1980年代まで飯田線でも見られたが、現存しているのはこの1両だけだ。同世代の車両として、クモハ40という電車が鉄道博物館に収蔵されているが、こちらの座席配置は窓を背にしたロングシートの車両で、前面のデザインも進化して丸みが付き、半流線型などとも呼ばれている。

クモハ11・クモハ42とも雨ざらしの状態で、特にクモハ11は劣化が著しい。クモハ42ですら、営業している線路を移動させるのは難しいだろう。

現在のJR線では特急列車が幅を利かせているが、かつては全国各地で気動車(ディーゼルカー)による急行列車が運転されていた。いすみ鉄道が保有しているキハ28が現役唯一の急行形気動車だったが、維持が難しいことを理由に2022年11月で定期運行を終了する。

この急行形気動車によって都市間輸送を行っていた時代があり、1つの時代を築いた車両として博物館で保管されていても不思議はないだろう。引退後に保存された車両はあるのだが、そのほとんどが野ざらし状態にある。屋内で保存されているのは四国鉄道文化館にあるキハ65と、津山まなびの鉄道館こと旧津山扇形機関庫内にあるキハ58とキハ28くらいだろうか。

消えゆく通勤電車

次いで、これから引退で消える電車としてJR東日本とJR西日本が保有している201系205系に触れたい。

201系は1979年に省エネルギー電車として登場、デザインを一新した上、電機子チョッパ制御と呼ばれる半導体による走行機器を搭載したことが特色だ。201系は首都圏からはすでに引退したほか、関西でも大和路線(関西本線)で使用されている車両を最後に引退が予定されている。JR東日本では、中央線で使用されていた車両を1両、豊田車両センターで保管しており、感染症が拡大する前は一般公開で展示されたことがあるほか、最近では有料の撮影会などを開いている。

実際には省エネルギー効果に乏しい車両で、失敗作とも言える電車だが、東西合わせて1000両ほどが製造され、首都圏や関西で一時代を築いた車両でもある。

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