コロナが落ち着くと結局「東京一極集中」に戻る訳 人口の流出入が映す都市部の不動産需要の行方

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コロナ前の有効求人倍率の高い人手不足状態から、コロナ禍で経済活動を制限したために有効求人倍率は急減した。その下がり方はリーマンショックなどの金融危機のとき以上に速かった。

しかし、リーマンショック後に有効求人倍率は0.42、失業率は5.5%まで落ち込んだのに対し、コロナ流行後の有効求人倍率は最も悪いときで1.04、失業率は3.0%に踏みとどまった。これはリーマンショックが起こった2008年から生産年齢人口(15~64歳)が大幅に減ってしまったからで、今後も少子化で急速に減っていくことになる。

日本は人手不足が深刻になる一方であり、仕事がなくて困ることは今後起こる可能性は低い。今のような景気回復の局面では地方よりも都市圏のほうが有効求人倍率は急速に上がる。つまり、地方から都市圏への人の流れは今後加速することが予測される。

休日の過ごし方が多様なのも都市部の魅力

また、東京などの都市部は人が流入する最たる動機が、多様な仕事がたくさんあるからではあるが、人は働いているだけではない。都市には多様な休日の過ごし方がある。美術館、イベント、観光地、飲食店などが豊富でいろんな楽しみ方ができる。そうした時間を過ごす相手は友人や恋人や家族になる。その相手が多いのも都市部の魅力である。

コロナ禍で人が集まる時間の過ごし方を否定されてきたことは都市部の魅力を半減させたことは想像にかたくない。外出も会食もイベントもない都市部は地方と大して変わらないつまらない休日を過ごす場所となり、地方移住を検討するタイミングでは影響を及ぼしたかもしれない。

しかし、コロナの新規感染者が増えようとも致死率が下がった今日ではコロナ前の日常が戻りつつある。

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