今回の事件では、アプリ(管理システム)を使用して園児の出欠を管理していたにもかかわらず、いい加減な入力をしていたり、そのデータと保育室での人数が一致していなくても保護者に欠席を確認しなかったことも問題になりました。
実はこの欠席確認、どこの園でもたいへんになっていると聞きます。保護者が欠席連絡を忘れていることは多いとか。だからといって今回の事件の責任が軽減されるわけではなく、登園していない児童の欠席確認は必ずしてもらわなくてはなりません。園バスを運行しているのであればなおさら重要なチェックになります。
保育者が少ないという構造問題も
実は、保護者が送ってくる場合でも、登園後に子どもが外に出てしまった、散歩でいなくなったなどの事例が全国の園で多発しています。
保育者は、子どもたちが移動するときに節目節目で人数確認をし、はぐれた子どもがいないか注意しながら保育に従事しなければなりません。
本来子どもは元気いっぱい動き回るものであり、その自由な活動を保障することが心身の健やかな発達のために必要であることは、保育所保育指針や幼稚園教育要領にも記されています。
こういった教育の質としての遊びの保障と安全管理の両立のバランスはどこの園でも課題になります。最終的には、保育者が子どもにどれだけ目を向けられるかにかかっている部分が大きいのです。
ここには国が決めている保育者の配置基準が少なすぎるという構造的な問題があり、その改善も急務なのですが、ICTの力も助けにはなります。
私が見学させていただいた園では、タブレットにクラスの園児の登降園の時刻はもちろん、さまざまな特記事項、保護者からの連絡事項なども記録され表示されていました。タイムカードの打刻により遅刻や早退で人数が変動してもすぐにわかり、情報を園内で共有できるので、場所を移動しても担任以外も人数などを確認できます。
今回の事件ではタブレット管理を導入していたのに、十分に活用できていなかったことがわかっていますが、十分に活用できれば、さまざまなリスクの低減ができるはずです。
園バスの装置、これらのICTの設備にも相当の費用がかかりますが、各園で整備できるように国や自治体が援助してほしいと思います。税金を何に使うかの判断が求められます。
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