国会でも核心触れぬ首相、自民党政権「劣化」の実態 閉会中審査に出席も「国葬」批判を払拭できず

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答弁する岸田文雄首相
国会の閉会中審査に出席した岸田文雄首相(写真:ブルームバーグ)

9月27日に催される安倍晋三元首相の国葬に反対する動きが強まっている。参院選のさなかに凶弾に倒れた安倍氏に対し、いち早く「国葬」を決めた岸田文雄首相にとっては大きな誤算である。

なぜ、岸田氏は判断を誤ったのか。首相周辺の官僚や自民党の政治家たちからは慎重論が出なかったのか。その経緯を探ると、いまの自民党政権の「劣化」の実態が見えてくる。

岸田首相は9月8日、衆参両院の議院運営委員会に出席し、国葬決定の経緯などを説明した。「国会や国民に直接、説明したい」という岸田氏自身の意向を受けたものだが、これまでの見解を繰り返しただけで、国民の疑問に正面から答えることはできなかった。

この問題の経緯を振り返ってみよう。

「国葬支持」から変化した世論の反応

岸田首相は参院選直後の7月14日、安倍氏の葬儀を「国葬」とする考えを表明した。自民党最大派閥の安倍派(清和会)の幹部である下村博文元文部科学相が11日のテレビ番組で「安倍氏は国葬に匹敵する足跡を間違いなく歩んだ」と発言しており、岸田氏としては、安倍氏が率いてきた党内保守派の意向に応える狙いもあった。

世論は当初、「国葬支持」が多かった。NHKの7月の世論調査では、国葬の決定を「評価する」人が49%で、「評価しない」の38%を上回っていた。岸田首相の周辺からは「国民は国葬を理解してくれている」と安堵の声が聞かれた。

だが、世論の反応は変化する。NHKの8月の調査では「評価する」が36%に減り、「評価しない」は50%に跳ね上がった。この間にメディアが国葬の問題点を指摘し、世論が敏感に反応したようだ。

世論の批判が強まった理由は主に3点ある。

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