「ベンチャー投資マネーの膨張」に漂う期待と不安 数字と図表で徹底解説!ベンチャー最前線②
しかし、「ドライパウダー」と呼ばれる、VCなどのファンドの運用額における未投資の金額は豊富だ。19、20年は新たなファンドの設立が活発だった。ファンドの投資期間は通常2~3年のため、しばらくは投資マネーの潤沢な状態が続きそうだ。
さらにVCに出資する機関投資家の裾野も広がる。
中でも注目を集めるのが、国民の年金基金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の動きだ。2022年3月末時点で約196兆円の運用資産を抱える世界最大の機関投資家で、VCなどへのオルタナティブ投資を増やす姿勢を鮮明にする。
GPIFがベンチャー投資に動いた
そんな中、2022年5月にGPIFが、運用を委託する三菱UFJ信託銀行を通して、前出のグロービスに出資したことが明らかになった。日本のVCへの投資はこれが初めてだ。「年内に複数のVCに出資する方向だと聞いている」(VC関係者)との声もある。
一方で短期的には不安要素もある。INITIALによれば、2022年上半期のファンド設立総額は1856億円と2021年1年間の半分に満たない。
前出のシニフィアンの朝倉氏は、「大規模なファンドサイズを狙おうとするほど、影響は大きくなる。海外の機関投資家は、上場株の下落でポートフォリオのバランスが崩れれば、それに合わせて未上場企業への資金を出し渋り始める」と話す。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら