銚子電鉄「ぬれ煎餅」「まずい棒」が好調で黒字 物販の月間売り上げが「1000万円」を超える
観光客が途絶えたため、巣ごもり需要を狙ってオンライン通販に力を入れた。ぬれ煎餅やまずい棒などのオリジナル商品のみならず、地元の企業とともに開発した商品も販売した。
ここで功を奏したのはお家芸の自虐ネタだ。もともと「経営がまずい」にかけて2018年8月3日(破産の日)に売り出したのが「まずい棒」。2020年春、客足の減少で売れ残った1700袋の賞味期限が迫り、「本当にまずい」とSNSで呼びかけたという。
結果、物販の月間売り上げが1000万円を越えるほどになった。
他地域のローカル鉄道と手を結んでの商品開発も行った。ユニークなのが「石の缶詰」だ。えちごトキめき鉄道からの発案をきっかけに、天竜浜名湖鉄道などと手を組んで、線路の石を缶詰にして発売したところ、あっという間に完売したという。
「2020年のオンライン通販の収益は約1億円と、前年の10倍。おかげで赤字は700万円で済みました」(竹本氏)
銚子電鉄のオンライン販売の歴史
オンライン販売のアイテム数は現在、100以上にまで広がっているそうだ。
インターネットを通じて窮状を直接訴える販売戦略は今では同社の十八番となっているが、その始めは2006年にさかのぼる。
「ぬれ煎餅を買ってください。電車修理代を稼がなくちゃいけないんです」と呼びかけると、励ましの言葉とともに1万5000件、売り上げにして4億2000万円分の注文が殺到したのだ。またこれを機に銚子電鉄に乗るために訪れる観光客も「山手線状態」ほどに増え、運賃と物販の収益を合わせて黒字化することができたという。
それにしても、銚子電鉄はなぜいつも困っているのだろうか。
銚子電鉄の創業は1923年。地元の人の足として、また沿線に工場を持つヤマサ醤油に塩などを運ぶ貨物路線として運行していた。しかし時代の流れとともに運搬や移動の手段は車へと移り、利用者数も減少。運賃収入だけではまかなえなくなり、ほかのローカル鉄道と同様、国や自治体の公的補助を受け運営を行っている状況だった。
親会社が倒産し、廃線の危機に直面したこともある。
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