銚子電鉄「ぬれ煎餅」「まずい棒」が好調で黒字 物販の月間売り上げが「1000万円」を超える

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2005年から顧問税理士として関わり、2012年に社長に就任した竹本氏は、銚子電鉄における副業の伝統を引き継ぎ、さらに多角化してきた。現在は銚子電鉄の存在そのものが観光資源となり、地域を潤している。

ネーミングライツの一例。「笠上黒生(かさがみくろはえ)」という駅名の上に呼称が記載される。この駅のネーミングライツを利用している企業は頭皮・髪のケアアイテムのメーカー(撮影:尾形文繁)

象徴的なのが、駅名の呼称権「ネーミングライツ」を販売する事業だ。例えば銚子駅から数えて3つ目の「本銚子駅」には、「上り調子 本調子 京葉東和薬品」という呼称がついている。利用料金は年間200万円で、呼称を駅舎看板などに駅名とともに記載するほか、車内案内でも放送される。いわば、銚子電鉄というインフラを使った企業CMのようなものと考えればよい。さらに、さまざまなユニークな呼称が駅を飾ることで銚子電鉄そのものの価値がアップし、観光客が増える、地域に貢献するという意味合いもある。

車両を使ったイベントやコラボ商品の販売

車両を使ったイベントとしては、銚子から終点外川駅との往復50分、降車不可という「お化け屋敷電車」や、ピンク色のLEDで車内を飾った「イルミネーション電車」がある。また2020年には映画『電車を止めるな!』をクラウドファンディングで費用を募り制作した。

4月29日から当面の間運行している、「問題だらけの“もんだいがある”きゃりー電車」。車内がピンク色のバルーンやぬいぐるみでファンシーに飾られているほか、きゃりーぱみゅぱみゅ氏によるアナウンスが流れる(撮影:尾形文繁)

JALと連携しての航空機内でのグッズ販売、航空会社とのコラボ列車などにより、国内外の客を銚子へ誘致するキャンペーンも行っている。

メルヘンチックな犬吠駅舎
メルヘンチックな犬吠駅舎。竣工した1990年当時は観光列車化を進めており、テーマパークのアトラクションのような効果を狙って洋風の駅舎が建てられたとか(撮影:尾形文繁)

最近でもっとも話題となったのが、「アイドルマスター」というアイドル育成ゲームとのコラボキャンペーンだ。ゲーム中のアイドルが銚子電鉄の制服に身を包み、銚子の観光スポットをPRするという設定で、期間中はコラボ列車の運行や、コラボ商品の販売、PRポスター掲示などを行う。

ゲームでは、プレイヤーは「プロデューサー」としてアイドルに営業や仕事をさせて育成し、トップアイドルに導く。銚子電鉄とのコラボでは、そのアイドルが仕事をしている現場に赴くことで、自分もゲームの世界に入り込んだような一体感を感じることができるわけだ。

銚子電鉄にとっては利用客の裾野が広がるというメリットがあった。

「アイドルマスターとのコラボキャンペーンでは、従来の銚子電鉄ファンとは異なる、本当に多くの方が銚子電鉄を利用してくれ、うれしく感じました」(竹本氏)

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