妻に「800万の借金」が発覚して訪れた最悪の展開 クレカの不正使用疑うも「妻の散財」だった…

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僕は期せずして、素っ頓狂な声を発していた。債務整理に追い込まれているのだから、数十万円では済まないことは覚悟していた。100万円ぐらいだろうか。妻に打ち明けるように促しつつ、僕も脳内でソロバンを弾いていた。予想はあっさりと、実に8倍の額で飛び越された。

「本当に800万円なの?」

「そう」

答えた妻は涙声で、時折、鼻をすすりながら続けた。

「自分でも、どうしてこんな高額になったのか分からないの。やっぱり買い物依存症になっていたとしか思えない。買い物するたびに、悠希さんにも子どもにも『申し訳ない』とお詫びしていたよ。買い物しても、楽しくなかった。苦しかったよ」

「きっと責められるだろうから、死ぬまでひとりの秘密にするつもりだった」

「債務整理をしてもらえたから、5年ぐらいかけて自分のお給料から払うつもりでいた。悠希さんの百貨店カードは他に手段がなくて使ったけど、このことは打ち明けるつもりはなかった。隠し通せると思っていたの」

買い物に使ったのは1000万円以上

「パンドラの箱」から飛び出してきた「不都合な真実」は、借金800万円というバケモノだった。妻曰く、買い物に使った金額は合計1000万円以上。しかし、本当にいくらなのかは、「弁護士に任せたから、よく分からない」。

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つい先ほどまでは、美和が僕のクレカで使った16万6468円について、彼女とやりとりしていた。住宅ローンを抱え、財布のひもを固くしている僕には、16万6468円だって大金だ。

しかし、妻はその60倍のお金を買い物につぎ込み、800万円の借金を残していた。高級バッグや洋服、アクセサリー類は、我が家のどこにも転がっていない。それだけに、彼女の告白は僕を混乱させた。

「美和ちゃん、分かった。大変だったんだね。ちょっと、今すぐどうにかできる話じゃないから、ちゃんと会って話そうよ」

僕の言葉に、妻はこう切り返してきた。

「『力になる』と言ってもらえて嬉しかった。ずっと内緒にするつもりだったけど、打ち明けられてよかった。もうしないから。それだけは信じてね」

事実を聞き出す際に、僕は確かに「力になる」と言った。この一言がなかったら、妻はきっと借金800万円のことは打ち明けなかっただろう。事実を知るためには役立った。しかし、「力になる」発言は、この後の僕を大いに縛ることになる。

多くの夫婦と同じように恋愛結婚し、永遠の愛を誓い合った富岡悠希さん夫妻。しかし、仕事や育児で多忙に過ごすなか、小さな価値観の違いが積み重なり、亀裂が生まれてしまいます。
一体、何が問題だったのか。手を出した妻にだけ責任があったのかーー
そんな問いかけを胸にさまざまな識者に話を聞きに行くなかで、富岡さんは昭和的価値観が抜けきらない自分自身を見つめ直し、コミュニケーションを怠ってきた自分を反省しながら、妻への愛を再確認していきます。
《3本立てにおける次回、第3回の記事はこちら/12日12時になると記事が公開されます》
富岡 悠希 ジャーナリスト

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とみおか・ゆうき / Yuuki Tomioka

ジャーナリスト、ライター。1970年代、関東生まれのポスト団塊ジュニア。大学卒業後、就職氷河期時代に某報道機関に入社。記者として社会、経済、国際分野などを約20年多方面に取材する。その後、ネットメディアに執筆の主舞台を移し、雑誌のライター業も。夫婦や家族のほか、貧困、ネットの誹謗中傷問題などにも関心を寄せている。「一筆入魂」をモットーとして、目線の低い取材を心がけている。

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