妻に「800万の借金」が発覚して訪れた最悪の展開 クレカの不正使用疑うも「妻の散財」だった…

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真っ先に浮かんだのは、犯罪への巻き込まれだった。まずはカード会社に電話連絡し、使えないようにしなければ。不正使用だと分かれば、お金は戻ってくるはず。

電話連絡のためにカードの裏の記載を確かめようと、いつもクレカを置いてある書斎机の引き出しを開けてみた。あさってみたが、カードがない。他の引き出しを捜索しても、見つからなかった。

「どこかに落としたカードを使われたのか」

疑念が膨らんだ。この時まで、妻は頼れる、信じられる存在だった。焦った僕は慌ててLINE電話をかけた。しかし、この通話は「パンドラの箱」を開け、「不都合な真実」を知る悪夢のような時間となる。

「あなたのカードで私が買い物をした」

「もしもし、今ちょっといい?」

切羽詰まった僕の声で、妻はただならぬ事態だと理解したようだ。平日のため彼女は職場だったが、話ができる場所に移動してくれた。

「百貨店カードの使用明細が届いたのだけど、知らない支出があるんだよ。カードを探しても手元にないし。不正利用されていたら困るから、今から手続きをする。困って焦っちゃって。それで電話したんだ」

こうまくしたてる僕に対し、電話越しの妻は黙ったままだった。

「警察にも電話しないといけないかもしれない。何かの犯罪に巻き込まれていたら、嫌だし。全然知らない店での買い物なんだよ。しかも、16万6468円分も。クレカの不正使用は、犯罪だと分かればカード会社が止めてくれるはずだよね」

「それ」

ここまで話を聞くと、妻は口を開いた。

「それ、私が使った。私が使った分だから、警察やカード会社に電話しないで」

予想だにしない言葉が返ってきて、僕は混乱した。

「ちょっ、ちょっと待って。何それ。何言っているの?」

はっきり告げないと、僕が現実を受け入れられないと判断したのだろう。彼女は前よりも強い口調になった。

「だから、悠希さんの百貨店カードを使って、私が買い物をしたの。不正使用でも何でもないから。お金がなくて、私が使ったの」

明細書に身に覚えのない支出がある原因は分かった。しかし、これで一件落着とはいかない。最低限確かめておきたいことが、二つ浮かんだ。

「でもさ、そんな勝手に使われたら困るよね。僕は住宅ローンを毎月20万円返しているから、そんなにお金に余裕ないし。今回の支出以外にもあるの?」

一つ目の質問に、妻は素直にすぐに答えた。

「その後は使っていないから、ないよ」

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