ガンダムは、なぜ今でも人々を魅了するのか 映画で描かれたガンダムの新しい基準

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アニメーションは総合芸術と呼ばれる。膨大な手間がかかるため、一人の力で完成させることが難しいからであるが、一方で、多彩な人材が結集することで、一人では実現できないような傑作にもなり得る。ファーストガンダムがまさにその好例である。原作者の富野由悠季氏、メカニカルデザインの大河原邦男氏、そして安彦氏らが、その才能を余すところなく発揮した。この中の一人が欠けても今日のガンダムはなかったはずだ。

「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル」もまた然り。安彦氏を主軸に現代アニメ界の最高レベルの人材が本作に参加した。

極めて高い作画のクオリティ

谷口理プロデューサー(撮影:風間仁一郎)

まず驚かされるのが、作画のクオリティの高さ。人物の揺れ動く感情がセリフではなく、演技で表現されている。それもそのはず。友永和秀氏(「ルパン三世カリオストロの城」のカーチェイスシーンを作画)をはじめとした達人たちが原画を描いているのだ。

いくらベテランといえども、流暢な安彦氏の絵柄を再現するのは容易ではない。「作画監督の西村博之ら主要メンバーは、事前に準備期間として、原作を見て安彦氏の絵を再現する練習をした」と、谷口理プロデューサーは語る。その上で、「この人は芝居がうまい」「この人はアクションが得意」と、アニメーターの長所に合わせて、作画シーンを決めた。

アニメーターたちが描いた第1原画と呼ばれる作画の元となる部分に、安彦氏はチェックを入れる。「これだけすごい人をそろえて、得意分野を描いてもらっても、安彦氏が“修正は入りません”と一発OKが出たカットは半分もなかった」と谷口氏は振り返る。

そのためもあるのだろう、最終的に仕上がった絵柄は、安彦氏が自分で描いたのではないかと思うほどのクオリティを保っている。

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