小野薬品と塩野義製薬、株価上昇の共通点 がん・エイズ治療薬への期待が膨らむ

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現在、小野はBMSと共同で、腎細胞がん、非小細胞肺がん、胃がん、大腸がん、慢性骨髄性白血病など、約20のがん種を対象に、世界で60以上の臨床試験を行っている。

米メルク、英アストラゼネカといった世界のメガファーマも、同じメカニズムを用いた薬の開発に着手。腫瘍免疫と呼ばれるこの新領域で、開発が加速している。

患者数が多いがんに適応が広がると、市場は爆発的に拡大する。シティグループ証券の山口秀丸アナリストは、「腫瘍免疫領域の市場は3兆円になる」と見込む。

塩野義へのロイヤルティは1000億円規模か

オプジーボ単独でのピーク年間売上高は「小野が販売する日本、韓国、台湾合計で1000億円、BMSが販売するそれ以外の地域で7000億円(小野へのロイヤルティ613億円)」(同)と予測。今期の予想売上高が1370億円の小野にとって、オプジーボの登場により、業績は様変わりしそうだ。

一方、塩野義が英グラクソ・スミスクライン(GSK)と共同開発した抗HIV(ヒト免疫不全ウイルス)薬「テビケイ」は、13年以降、欧米や日本などで発売された。各国でほかのエイズ治療薬を上回る急速な立ち上がりを見せ、「発売後の推移は当初の予想を上回っている」(GSK)。耐性ウイルスが出現せずに長期間使える点が、評価されているようだ。2014年のテビケイやその配合剤の売り上げは、世界で3億3900万ポンド(約620億円)に到達。将来は「年間3000億~5000億円規模が視野」(塩野義)の新薬だ。

塩野義はテビケイ類の売り上げに応じたロイヤルティと、10%出資するGSK子会社のViiV社から配当金収入を得る。ロイヤルティ料率は平均で10%台後半、一部地域では20%台前半の契約。単純計算で600億~1000億円規模になりうる。

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