岩手県沿岸部を走る「無料村営バス」の使い勝手 通学に使う「ほぼスクールバス」・田野畑普代編

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普代駅前―堀内机間にも平日2往復の普代村営バスがある。こちらも田野畑村と同じく全便無料だ。三陸鉄道のほうが海側を走るのでスケジュールに入れなかったが、時間があるので、立派な待合室がある堀内バス停を確認しておく。

堀内駅と海
三陸鉄道堀内駅の全景(筆者撮影)
堀内バス停
普代村営バス堀内バス停(筆者撮影)

戻りは堀内12時41分発の盛行き。この列車にも団体客が乗っており、12時53分着の普代で一緒に降りた。彼らは駅前広場に停められていた貸切バスに移動する。どうやら堀内駅見物が観光ツアーのコースに入っていたようだ。

普代駅は国鉄久慈線時代の終着駅で1975年の開業。1984年の三陸鉄道への転換、田老―普代間の開通以前から、地元の手でバスターミナル、観光案内所などと合築された大きな駅舎が建てられ、岩泉線岩泉駅とともに「日本一豪華な無人駅」と呼ばれていた。現在も飲食店、物販店などが入居しており、駅前にも広い駐車場がある。鉄道駅としてのみらず「道の駅・青の国ふだい」としても登録されている。そのため、団体客の拠点として活用されているのだ。

普代村の中心は普代駅の近くで海岸からは少し離れており、大型水門が効果を発揮したこともあって、鉄道ともども被害は最小限で済んだ。病院や商店なども集まっているため、田野畑村でも普代村に近い地域の利便を図って、タノくんバスは一部系統が村境を越えて普代駅前まで乗り入れてくる。同様に岩泉町の岩泉消防署前(旧JR岩泉駅前)まで足を伸ばす系統もある。

土休日は周遊観光バスに

反対に、田野畑村域にある北山崎展望台へは普代村営バスも平日2往復が乗り入れる。普代が終着駅だった時代からの、国鉄バス~JRバス東北の運転系統を引き継いでいるのだ。面白いことに土休日は、北山崎をはじめとする観光地を順にめぐる「村内周遊観光バス」として運行され、運転系統が大きく変わる。観光に生きる村の姿勢を表す施策と受け止めておこう。いつか、試乗してみたい。

普代駅前のバス停
普代駅前に並ぶ両村営バスのバス停(筆者撮影)

私は普代駅前13時10分発で北山崎展望台13時35分着。すぐ13時40分発で折り返し、14時04分に普代駅へ戻ってきた。

時々、県道を外れて集落の中のバス停に寄るルートは、市町村営バスではお馴染み。基本は山間部の曲線が多い道のりを行き、海はあまり見えない。ワゴン車に乗り込んだのは行きも帰りも数人。いずれも軽装で地元客だ。

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