宗教2世の苦悩を「毒親問題」で片づけていいのか 児童虐待、伝統宗教との共通点と違いは?

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――「宗教2世」問題は「毒親」と言われるような親子関係の問題と同じだと見る人もいます。

「宗教2世」問題を「問題ある親の元で育ったかわいそうな子」といったような単なる個別の親子関係の問題で済ませてはいけません。この論理は時に教団側の言い分として使われることすらあります。先だっては集英社のウェブメディアで2世の苦悩を描いた菊池真理子さんのマンガ「『神様』のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~」が、幸福の科学の抗議を受けて掲載中止となったと報道されています。

このマンガの内容について、幸福の科学側は「親子問題と自立の問題を信仰の問題にすり替えている点もあります」などと述べています。教団で模範とされることを幼少期から親が教え、実践を重ね、教団がエリートとする教団設立の学校で学び卒業までした結果、現に苦しみを抱えている2世がいるにもかかわらず、それを当の教団側が切り離しているわけです。

集英社のウェブメディア「よみタイ」で掲載されていた漫画「『神様』のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~」は2022年3月に連載中止となった

教団側は2世が信仰を持って明るく暮らしているという成功体験ばかりを取り上げるのがつねです。そういう人は確かにいるでしょう。

しかし、同じように幼少期から教団の理想とする信者子弟像に基づき実践し、育ったとしても、それゆえに苦しみ、悩みを抱える2世が現にいるという事実をこそ受け止めるべきです。熱心な信仰者に育ったら教団のおかげ、教団の望む道をはずれたら家族や個人のせいで「地獄行き」などというのは、公共的・社会的存在としての教団の責任ある態度とはとても言えないでしょう。


2世が苦しむ傾向が強い宗教の特徴
① タブーや禁止事項が多い
② 組織の同調性や外部との隔絶性が強い
③ 交遊・恋愛・結婚、進学・職業選択の自由を制約 ◇

2世の問題は単純な親子関係では解消しきれません。宗教団体の持つ組織性や教えの影響力を見過ごすことはできないのです。


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