家電メーカーの「象印」が飲食業に進出したワケ 圧力IH炊飯器「炎舞炊き」で炊いたご飯が主役
「象印銀白弁当」では、季節ごとにおかずの内容が替わる。今回、9月から発売予定の「旬の魚弁当~銀鮭のちゃんちゃん焼き風~」(1480円)と「山の幸弁当 ~播州百日鶏の照焼き」(1580円)を試食させてもらった。廣重さんの言うとおり、いずれも見ただけでごはんをかき込みたくなる。
「旬の魚弁当」のメインは、脂の多い銀鮭を使用した、鮭のちゃんちゃん焼き風。銀鮭を焼き上げてから味噌を塗り、さらに焼いているのが特徴だ。適度に水分が飛んで銀鮭の風味が際立っている。何よりも、銀鮭の脂と味噌の相性がよすぎて、つい、ごはんに箸が伸びてしまう。
一方、播州百日鶏の照焼きは、照焼きの“甘濃ゆい”味が鶏そのものの旨味を見事なまでに引き出している。噛めば噛むほど美味しく、これも無性にごはんが食べたくなった。
ごはんは、「象印食堂」と同様に種類と量が選べる。ノーマルな「銀白ごはん」は、とてもみずみずしく、甘さもしっかりと感じた。冷めていることがまったくハンデになっていないのだ。それはもう1つの「健康応援米」も同じだった。
まるでスイーツのような「創作おにぎり」
さらに驚いたのは、おにぎりだった。「象印銀白おにぎり」では、「日高昆布」(216円)や「ちりめん山椒」(249円)、「鮭」(249円)など定番のほか、季節の食材を使った「季節のおにぎり」やまるでスイーツのような「創作おにぎり」など30種類程のメニューを用意している。
いちばんシンプルな「塩おにぎり」(141円)を試食させてもらったのだが、最高級の江戸前寿司のシャリのように、口の中でお米がふんわりとほどけて、ひと粒ひと粒から甘みがじんわりと広がる。ごはんそのものの美味しさを引き出しているのは、絶妙な塩加減。具材が入ったおにぎりも美味しいだろうが、何もいらないと思った。長い間フードライターとして仕事をする中で、おにぎり1つでここまで感動したのは初めてだ。
象印マホービンが飲食業に進出した背景には、日本人のお米離れがある。米の1人当たりの年間消費量は、1962年の118.3キロをピークに減少していて、2020年の消費量は半分以下の50.8キロにまで落ち込んでいる。
「炊飯ジャーを扱うメーカーとしては、このような状況の中でも売り上げを伸ばしていかなければいけません」と、徳岡さん。
実は、筆者が使っている炊飯ジャーはそろそろ買い替え時。白物家電はいつも決まったメーカーのものを購入しているのだが、今回「炎舞炊き」で炊き上げたごはんを堪能して、気持ちは大きく揺らいでいる。
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