家電メーカーの「象印」が飲食業に進出したワケ 圧力IH炊飯器「炎舞炊き」で炊いたご飯が主役

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ごはんは炊きたてであればどんな銘柄でもある程度は美味しく食べられる。しかし、お弁当やおにぎりの場合、冷めても美味しくなければならない。そのため、炊き上げてから6時間後を目安に試食を繰り返した。

30種類以上のお米を食べ比べた結果、岩手県紫波町産「銀河のしずく」をベースに、佐賀産の棚田米コシヒカリをブレンドして使うことに。味もさることながら、粒が大きく、米自体が白くてツヤがあることが決め手となった。お弁当ゆえに、ふたを開けたときにお米のひと粒ひと粒が美味しそうに見えなければならないからだ。

また、おにぎりの場合は、ごはんひと粒ひと粒のもっちり感と口の中に入れたときのふんわり感が重要となる。ベストな炊き方と握り方を確立させるまでに約3年という長い時間を費やした。

「いろんな店で塩おにぎりを買ってきては炊飯ジャーの開発部門のメンバーと食べながら研究しました。『炎舞炊き』に備わっている121通りの炊き方の中で、圧力の強さや予熱の方法など最適なものを選びました。ふんわり感は、何パターンものおにぎりの型を作り、その中にどれくらいのごはんを入れればよいのかグラム単位で変えて試食しました」(徳岡さん)

「象印銀白おにぎり」外観。場所は阪神梅田本店地下1階惣菜ワールドのコンビニデリカ内(筆者撮影)

たどり着いたのは「甘濃ゆい」味付け

お弁当もおにぎりもごはんが主役。おかずやおにぎりの具材もごはんの美味しさを引き立てるものでなければならない。「象印銀白弁当」のおかずと「象印銀白おにぎり」のおにぎりの製造や店舗の運営は、兵庫・姫路の駅弁メーカー「まねき食品」に委託している。まねき食品製造部副工場長の廣重泰寛さんに話を聞くことができた。

「マグロの赤身を見たら日本酒が飲みたくなるように、お弁当のおかずやおにぎりの具材を見ただけでごはんが食べたくなる、日本人のDNAに訴えかけるものをめざしています。そこで1888年創業の弊社がたどり着いたのは、“甘濃ゆい”味付けです」とか。

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