家電メーカーの「象印」が飲食業に進出したワケ 圧力IH炊飯器「炎舞炊き」で炊いたご飯が主役
2杯目は「玄米」。これまで玄米を美味しいと思ったことはなく、身体によいという理由だけで食べてきた。しかし、ここの玄米は別格だった。玄米なのに艶があり、さっき食べた白米と同様に、噛むごとに甘みが広がるのだ。この玄米であれば白米と1日置きに食べられると思った。同時にこれほど効果的な「炎舞炊き」のプロモーションはないと実感した。
「美味しいごはんとおかずやテイクアウトのお弁当を提供するのはもちろんですが、コロナ前まではここで料理教室も開催していました。弊社の製品を実際にお使いいただき、気に入っていただけたら購入することもできるアンテナショップとしての役割も果たしています」(北村さん)
3年がかりで完成させたもっちり感とふんわり感
象印マホービンの製品を前面に出した、アンテナショップとしての要素を併せ持つ「象印食堂」に対して、昨年3月、新大阪駅構内にオープンした「象印銀白弁当」と、阪神梅田本店内に今年4月開店した「象印銀白おにぎり」はややテイストが異なる。ご飯を象印マホービンの「炎舞炊き」で炊いているということ以外は普通のテイクアウト専門店だ。
両店を立ち上げた象印マホービン経営企画部事業推進グループマネージャーの徳岡卓真さんは、12年間にわたって炊飯ジャーの開発部門に携わっていて、最後に手がけたのが「炎舞炊き」だった。2018年に新事業開発室へ異動となり、新たな事業を模索していた。
「炊飯ジャーの開発をしていた頃から、『炎舞炊き』で炊いたごはんを使ったお弁当やおにぎりが食べられる店があればとは思っていました。が、飲食に関してはまったくの素人ですので、美味しいごはんを軸とした店に勝算があるのかわかりませんでした」(徳岡さん)
徳岡さんは毎日のランチを利用して飲食店で実際にどんなごはんが出されているのかをリサーチすることに。すると、おかずは美味しくてもごはんが今ひとつという店が実に多かった。とくにお弁当やおにぎりなどいわゆる中食を扱う店では、美味しいごはんに特化した店は皆無に等しく、そこにチャンスを見いだした。
「新型コロナの感染拡大を機に中食は需要が高まり、以前よりも身近になりました。そこで、ごはんが主役のお弁当とおにぎりを作ろうと。まずは、『象印食堂』でもお世話になった五ツ星お米マイスターの金子さんに相談しながらお米選びからはじめました」(徳岡さん)
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