「卓上レモンサワーとホルモン」ときわ亭の正体 コロナ禍に店舗数をどうやって増やしたのか
0秒レモンサワーは60分飲み放題で500円。そのままだと普通のレモンサワーだが、さらに10種類のシロップから2種類を選び、アレンジすることも可能だ。
肝心なのは、お代わりをしたいときに店員を呼ぶストレスをゼロにしたこと。またレモンサワーを注ぐ様子や、シロップでアレンジした色とりどりのグラスは「楽しい体験」の価値をSNSで共有しやすい。店が客に提供するエンターテインメントが、SNSを通じて集客につながる仕組みだ。
ただ実のところ、こうした客席にタワーを設置し、自分で注いで飲むスタイルの店は最近他にも出てきている。例えば1人で食べられる焼肉で人気の「焼肉ライク」もその1つ。同チェーンの場合はレモンサワーとハイボールの飲み放題が60分550円となっている。
「いろいろな競合店は出てきているものの、タワー式のレモンサワーをやっている店として多くのお客様の記憶に残せたのではないかと思います」と藤田氏。現在は渋谷店など直営店を中心に、レバーにレモンの模型を飾ったタワーを設置し、さらに演出効果を高めているという。
エンターテインメントとしての焼肉
これらにより同チェーンが目指すのが、焼肉の新たな価値の提供だ。
「これまでの焼肉店の価値は、お祝い事などのときにA4、A5ランクのおいしいお肉を食べに行くというような、ごちそうとしての価値でした。私たちは、エンターテインメントとしての焼肉を提供していきたいと思っています」(藤田氏)
そのためもっとも力を入れているのが集客やファン創出のためのイベント。例えば8月9日〜31日の期間では、「アツい日に19時までに入店すれば『0秒レモンサワー』が60分無料」のキャンペーンを実施。ほか、梅雨の時期には降水確率に合わせて割引する企画も開催してきた。
こうした情報はインスタグラムやツイッターで発信。とくに情報拡散量が多いユーチューバー、Vチューバー、ティックトッカーなどの対応に工夫しているようだ。例えばこれらのファンの中から12名の公認アンバサダーを選出し、エンターテインメントの企画にも参画してもらっている。無償で自ら楽しんで参加してくれているところにポイントがあるという。
こうした企画の効果はアプリ会員の増加として表れており、この1年半のうちに会員が13万人にまで増えてきているそうだ。
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