例えば2022年5月9日には国連ニューヨーク本部で53カ国が参加する「グローバル発展イニシアティブ・フレンズグループ」ハイレベル・オンライン会合を開催するなど、中国は国連でのGDIの浸透を図ってきた。「(経済的な)発展」をキーワードとすることで、国際世論を引きつけようとしているのである。
国際経済の停滞を奇貨として、中国による途上国の取り込みは着々と進んでいる。その際に習政権が国連と並べて重視するのがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国)と上海協力機構(SCO)である。
6月15日の中ロ首脳会談では、習主席が「国連、BRICS、上海協力機構などの重要な国際・地域組織の意思疎通を強化し、新興国と発展途上国の団結・協力を促進し、国際秩序とグローバル・ガバナンスのさらなる公正・合理的な発展を推進したい」と表明していた。
中ロを中核とする連携の広がり
BRICSとSCOの重視は、いずれの機構にも参加するロシアとの連携強化を含意する。中ロ以外に両機構に参加するのは現時点でインドのみであるが、2021年9月にSCOに正式参加したイランがアルゼンチンと共に6月28日にBRICS加盟を申請しており、中ロへの接近が鮮明となっている。
6月23日のBRICS首脳会議を受け、翌24日に開催された「グローバルな発展に関するハイレベル対話」にはインドネシア、マレーシア、タイなどを含む13カ国がBRICS加盟国とともに参加した。習主席は開会にあたって「中国は発展途上国のビッグ・ファミリー(大家庭)の一員である」と述べ、南南協力援助基金を統合して「グローバル発展と南南協力基金」に格上げする、30億ドルのベースに10億ドルを増資する、中国・国連平和発展基金への投入を拡大しグローバル発展イニシアティブ協力の展開を支持していく等を表明した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら