初任給が上がっても会社を辞めたい若者が多い訳 「上司が残業していても自分は帰る」は約半数
「DMG森精機」は大学学部卒の初任給を10%増の30万円、修士課程修了者は9%増の31万円とする。「バンダイ」は2022年入社の新卒初任給を従来から6万6000円も引き上げ29万円に、日本酒「獺祭」を看板商品とする「旭酒造」も今春の初任給を約9万円アップの30万円に引き上げた。
東洋経済新報社が保有するデータで見ると、5年前からの初任給の増加率は「日本アクア」が29.7%、「サトウ食品」は29.0%、「アクアライン」27.8%、「アサヒペン」27.5%、「ディア・ライフ」26.4%などと20%を超える企業も目立ち、優秀な若者獲得に向けて待遇改善を図るところは少なくない。
だが、Z世代の仕事観は収入面のみで評価することは難しい。それは、公益財団法人「日本生産性本部」と一般社団法人「日本経済青年協議会」が2019年6月に公表した「新入社員働くことの意識調査」からも見える。
昇進志向は低下している
働く目的は「楽しい生活をしたい」が39.6%とトップであることに変わりないものの、働き方は「人並みで十分」が過去最高の63.5%に達し、私生活を中心にしたいとの回答は17.0%に上る。「仕事中心」(6.0%)との差は開く一方だ。若いうちに「好んで苦労することはない」も過去最高の37.3%で、昇進志向も低下している。
就労意識にも変化が見られている。「職場の上司、同僚が残業していても、自分の仕事が終わったら帰る」は49.4%で、5年前に比べて14.3ポイントも増加した。「仕事はお金を稼ぐための手段であって面白いものではない」(42.3%)は同9.6ポイント増、「職場の同僚、上司、部下などとは勤務時間以外はつきあいたくない」(30.1%)も同8.9ポイント上昇し、ワークライフバランスを重視する傾向が浮かび上がる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら