「自己肯定感が低い人」が起こしがちな問題行動 自分は劣っていると思い込んで加害者になる時

拡大
縮小

そして、調和を求め過ぎる〝ハーモニー中毒者〟になってしまうと、周りの人に不快な印象を与えることをひどく恐れるようになり、それゆえ衝突することに臆病になってしまいます。その結果、自分が感じていること、考えていること、したいことを正直に言わないことが多くなるのです。

さらに、ハーモニー志向者は相手のことをすぐに「自分よりも優位に立つ大きな存在」と認識し、この「認識のゆがみ」のために被害者意識を持ちやすくなります。

つまり、強そうに見える相手に対する不安から、その相手に自発的に従い、実際には自分が望んでいないことまでもしてしまう。するとハーモニー志向者にとっては、この強そうに見える相手が〝加害者〟に見えてくるのです。

突然相手を「拒絶」するように

こうして、ハーモニー志向者は自己評価を相手の頭の中に投影し、自ら相手に服従する状況をつくってしまっているのですが、彼らはそのことに気づいていません。

その代わりに、自分よりも力があるように見える相手に対して、不快な感情を持ってしまいます。彼らの心の中で、「自分は雑に扱われている」「支配されている」という感情が大きくなればなるほど、自分が自由に行動できる余地を守るために、相手から離れようとする傾向が強くなります。

しかし、相手には通常、このプロセスに介入できるチャンスはありません。なぜなら、このプロセスはハーモニー志向者の不安から起こっているにもかかわらず、本人がその不安を認めていないからです。

その結果、相手は抵抗から身を守るために、まさにハーモニー志向者がもっとも避けようとしていること、「拒絶」をしてしまいます。こうして、ハーモニー志向者が恐れていたことが現実のものとなるのです。こうしたことはよく起こり、「被害者−加害者−倒錯」と呼ばれています。

次ページいつの間にか加害者にならないために
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT