「日本の技術」伝承、ジャカルタ地下鉄整備の現場 JRやメトロの専門家が「オーバーホール」を指導
このほか、インドネシアから国営鉄道車両製造会社(INKA)の子会社、IMSCもこれに加わっている。IMSCは、今後、日本人の体制が縮小されたときのサポート役となる。
OMCS2の目指すところは、MRTJによる自律的な運営維持を可能にすることで、これは従前のパッケージであるOMCS1から変わらない。オペレーション(運転、列車運行管理、安全管理等)、車両保守、インフラ保守(信号・通信、軌道、電気等)という3つの柱もそのまま引き継いでいるが、大きく変化した部分がある。
今回は初の「オーバーホール」
それは、従前の車両メンテナンスパートではライトメンテナンス(仕業検査・月検査)を行っていたところが、今回はヘビーメンテナンス(重要部検査・全般検査:オーバーホール)に置き換わったことだ。オーバーホールとは、日本の鉄道ではおおむね4年ごと、あるいは規定の走行距離に達した際に実施されるメンテナンスで、台車と車体を切り離してすべての部品の検査を実施し、指定された消耗部品に関しては総取り替えを行う大掛かりな検査で、分解検査とも呼ばれる。
部品をすべて取り外し、そしてもう一度組み立てるという作業は、車両の長期的な安定走行に欠かせない作業である一方、非常に大きなリスクを伴う。開業後支援たるOMCS2の中でももっともボリュームの大きい部分であり、見せ場でもある。
MRT車両初の「分解」検査は、日本とインドネシア双方の注目を集め、インドネシアのブディ・カルヤ・スマディ運輸大臣は「国鉄(KAI)もこのオーバーホールを見学したほうがいい」と発言するほどだった。また、見学に訪れた金杉憲治在インドネシア日本大使は、MRTJにルバックブルス車両基地の設備や作業をもっとアピールしたほうがいいと、MRTJ側にリクエストするほどだったそうだ。
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