「日本の技術」伝承、ジャカルタ地下鉄整備の現場 JRやメトロの専門家が「オーバーホール」を指導

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ここで、日本コンサルタンツ(JIC)の宇都宮真理子氏(プロジェクトリーダー)と釼持義明氏(ヘビーメンテナンスリーダー)に話を聞いた。2人ともJR東日本からの出向で、鉄道の現場を知るプロフェッショナルだ(インタビュー部分敬称略)。

――無事オーバーホールが終わったが、当初はコロナ禍で現地に専門家が入れず大変だったのでは。

日本コンサルタンツ(JIC)のプロジェクトリーダー、宇都宮真理子氏(筆者撮影)

宇都宮:コロナがなければ、2021年に始まる予定だった、これはメーカーによる保証が開業後2年という部分に合わせていた。

――OMCS2では、オーバーホールがかなりの部分を占めていると思うが、どのくらいの規模だったのか。

宇都宮:OMCS1でメンテナンス部門に派遣された専門家は2人だったのに対し、今回は日本人16人、インドネシア人6人の計22人が、車体、台車、ブレーキ、エアコン、パンタグラフと細分化された分野に派遣されていて、もっともボリュームの大きい部分である。

――オーバーホールに必要な交換部品は、MRTJ側が独自に調達し揃えていると認識しているが、ものすごい量になると思う。すべて揃ったのか?

宇都宮:限られた予算の中、また州営ということで調達方法の縛りもある中、極力純正のものを揃えてもらった。必要部品は数百種類ほどになるが、マニュアルに指定のない一部のものはローカルで調達されている。

――MRTJの作業スタッフは若い人がほとんどで、鉄道経験は浅いと思う。どのような点を注意しながら指導したのか。

釼持:彼らの経験が少ない分、何をしたらいいのかを考えた。メーカーからのトレーニングを彼らは受けており、また、オーバーホール開始前に独自に車体と台車を切り離すなどの作業デモンストレーションをやっている。どういうスキルなのかを事前に調査することから始めた。

日本式メンテナンスを海外でも

――メンテナンスをメーカーではなく、事業者が行うのが日本の鉄道の特色だ。今回、チームに車両製造元である日本車両製造は加わっていないが、海外においてもメンテナンスは事業者側が行うのか。

釼持義明氏
作業手順を打ち合わせる日本コンサルタンツ(JIC)ヘビーメンテナンスリーダーの釼持義明氏(左手前)(写真:日本コンサルタンツ)

釼持:その通り、日本の車両メンテナンスは事業者がいないと成り立たない。そのため、海外仕様でも事業者側による。

――JR東日本は日本車両製の車両をあまり保有していないが、普段、使い慣れていない他社の車両のメンテナンスを指導するのは苦労しなかったか。

釼持:われわれもマニュアルを読み込むところから始めた。MRT車両(日本車両のSTRASYA)のベースはJR東日本のE231系に近いが、わからないところはメーカーに問い合わせた。

――しばしば、日本式の押し付けではないかというような批判的な言われ方もするが、そのあたりに関する考え方は。

釼持:第一線で働くプロが異国の地でどのように教えるかは議論した。また、MRTJの車両を初めて触るのは我々も同じだ。そのうえで日本での経験、つまりマニュアルには書いていないこと、また今のインドネシアの設備でできることを教えるように心がけている。

――経験を教えるということはメーカーではなく、鉄道事業者だからできることか。

釼持:車両メンテナンスの場面では、自分の目で判断しないといけないことが多々ある。この部品はまだ使えるのか、交換すべきなのか、マニュアルには書いていない。特に現状のMRTJの走行距離ではすべて交換する必要がないものもある。これを検証していけば、最終的にコストダウンに繋がる。

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