気を付けたいのは、とうがらしやニンニク、山椒などの香辛料です。温めて水気を飛ばす働きが大きいスパイスは、体をほてらせ、潤いを奪ってしまいます。陰虚の人にとっては大敵です。飲酒も陰虚を悪化させるので控えましょう。
肉や、油っこい物の食べすぎも、発汗やほてりを悪化させます。揚げ物は避け、あっさりとした味付けで、野菜中心のメニューを選ぶようにしましょう。
陰を強力に補う代表的な食材は、すっぽんです。亀の甲羅を生薬にした亀板(きばん)は、“補陰の女王”といわれています。このほか、鴨肉も熱を冷ましてくれる食材です。豚肉やはまぐり、れんこん、ゆり根、白きくらげ、豆腐、クコの実、梨などもいいでしょう。
また漢方には“酸甘化陰(さんかんかいん)”という言葉があるように、甘酸っぱいものは陰を養う働きがあります。ぶどうや梨、みかん、ライチ、レモン、トマトなどは甘味と酸味で陰を補い、体を潤してくれます。
自分で作るハチミツレモンもおすすめです。ハチミツ、レモン果汁を各大さじ1杯、コップに入れて水で薄めます。胃の働きを高めたいときは、最後に黒胡椒を一振りします。塩を一つまみ入れれば、経口補水液の代用にもなります。
汗のかきすぎは実は要注意!
陰虚の人は汗をかきやすいため、過度の運動や発汗は陰を消耗し、体調を崩す原因となります。炎天下でのスポーツ、サウナ、ホットヨガ、岩盤浴でびっしょり汗をかくようなことは不向きです。
水泳やアクアビクスなどの水中の運動はおすすめですが、水中でも体を動かせば陰を消耗しますので、水分補給は忘れずにしたいところです。
陰のエネルギーは、陰の時間帯である夜中に養われます。本来なら安静にすべき夜間に仕事や趣味に没頭すると、陰を消耗することになります。徹夜明けに目が充血したり、のどが渇いて体がほてりやすくなったりするのは、陰である体液が消耗するせいです。
陰虚の状態では、疲れているのに眠れず、熟睡感の少ない、夢の多い浅い眠りになる傾向にあります。熱がこもってイライラし、眠ろうと思えば思うほど眠れないものです。だからといって、スマホを見たり音楽を聴いたりするのはあまりお勧めできません。
中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「臥(が)すれば血、肝に帰す」という言葉があります。たとえ眠れなくても体を横たえれば重力から開放されて、体は休まります。脳を休めることも大切ですが、まずは体を休めることに集中してください。
6~8時間ほど体を横にして休めば、たとえ脳が睡眠していなくても、ある程度は元気になれます。眠れないことに神経質になりすぎないことが大事です。
治療院に来る患者さんには、猛暑の日中はなるべく外に出ないようにとお伝えしています。体調が悪いのに、暑い日の日中に出かけている人が意外と多くて、驚きます。
暑い日差しの中で汗をかき、冷房の強い店に入るということを繰り返すと、自律神経が失調しやすくなります。猛暑の日は活動を控え、涼しい日、時間帯にまとめて用事を済ませるようにするとよいでしょう。
まったく動かず、ずっとテレビやパソコンの前にいるのもよくありません。室内で汗をかかない程度の運動(ヨガやストレッチなど)や、掃除をするのがおすすめです。夏休みの休日は、涼しい室内で普段手の行き届かないところをきれいにしてみてはいかがでしょうか。
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