戦後77年、日本が占領下の枠組みに縛られる現実 安倍氏の「戦後レジームからの脱却」を論客が議論

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以下、番組での主なやりとり。

安倍晋三首相(2007年1月26日 施政方針演説):「憲法を頂点とした(中略)基本的枠組みの多くが、21世紀の時代の大きな変化について行けなくなっていることはもはや明らかだ。(中略)今こそこれらの戦後レジームを原点にさかのぼって大胆に見直し、新たな船出をすべきときが来ている」

「戦後レジームからの脱却」の真意

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):安倍元首相は第1次政権時に「戦後レジームからの脱却」を主張していた。欧米などから修正主義ではないかとの批判もあり、第2次政権ではあまりこの言葉を使わなかった。安倍政権では明らかに日本の安全保障政策のステージを変えた。

櫻井よしこ氏(ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長):安倍氏は憲法をはじめこの国の大きな枠組みを変えようとした。例えば、教育、家族のあり方、社会のあり方、お金の使い方、経済のあり方も含めて、戦後体制から脱却し本来の日本国を取り戻そうというのが安倍氏の唱えた「戦後レジームからの脱却」の本心だった。GHQ(連合国最高司令官総司令部)は本当に変えてはならないところまで変えてしまった。それを私たち日本人は大人しく受け入れている。(歴史学者の)秦郁彦先生によれば、憲法草案を書いたアメリカ人たちが「この憲法はどうせ数年の命なんだから、ちょっとまずくても日本人が変えるだろう」と述べていたという。西修先生も戦後40年のときに訪米し、日本国憲法の草案を書いた十何人かを訪ね、皆が「まだあの憲法を使っているの」と驚いたという。これは占領統制をうまくいかせるためのアメリカの身勝手な憲法だった。安倍氏は、それを日本人が生真面目に受け入れて、あたかもいいことであるかのようになっているのを変えようとした。本当の意味でよき日本を取り戻そうということだ。これは決して軍国主義に走るということではない。日本人は本来非常に穏やかで、しかし、勇気ある雄々しい文明、文化を築いてきた。そのような日本を取り戻すために憲法改正がいちばんの肝だね、ということが「戦後レジームからの脱却」の真意だ。

(画像:FNNプライムオンライン)
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