変わりゆくクルマの顔を支える最新ライト最前線 前方を照らすだけじゃない、灯火類の進化とは
担当者は、「今後、例えば、LiDAR(ライダー)など暗い場所などでも物体検出できるセンサーがより多くの車両に搭載されれば、HDライティングも多様な機能を使うことができる」という。LiDARとは、高度なADAS機能を持つ車両をはじめ、将来的な自動運転車の目として期待されている次世代センサーだ。赤外線などのレーザー光を照射し、物体や障害物、人などに反射して戻ってきた時間などで検知するため、夜間にも比較的強いといわれている。
だが、LiDARを採用するか否かは、自動車メーカー次第。LiDARはかなり高価なこともあり、高級車など一部の車種にしか搭載されていないのが現状だ。コスト面の問題などがクリアされ、より多くの車種に搭載されるようになれば、HDライティングも自動車メーカーに採用されやすくなる。そして、そうなったときにはじめて、この技術が持つ夜間運転時における高い安全性を、幅広いユーザーが享受できるようになるという。
グリルの小型化&レスが進む電動車向け「e-Grille」
次は、BEVやHEV、PHEVなど、多様な電動車向けに開発中の光るフロントグリル「e-グリル(e-Grille)」について。自動車の電動化により、本来の「エンジン冷却のための吸気」機能としての役割が小さくなっているフロントグリルへ、新しい価値観を持たせるためのシステムだ。
今回展示されたのは、e-グリルのプロトタイプで、アウターレンズ部分に大日本印刷が開発した特殊な加飾フィルムを採用しているのが特徴だ。このフィルムは、意匠性が高い加飾印刷と、必要なときだけ光が透過する光学特性を併わせ持つ。そのため、加飾印刷でグリルに美しいグラフィックの外観を施すことができるだけでなく、装着したライトを点灯させると、グラフィックと独立した自在な光の形状を映し出すことができる。
市光工業の担当者によれば、e-グリルは、例えば、「自宅などで電動車を充電する場合、充電度合いを光で表示したり、ドライバーが車両に乗り込む場合に光るウェルカムライトとして利用したり、さまざまな機能を持たせることができる」という。ほかにも、例えば、通常走行時に光らせることで、車両に個性的なフェイスデザインを持たせることもできる。近年、新型車のヘッドライトに採用例が増えている、デイライトのフロントグリル版といったイメージだ。
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