「中国ミサイル、日本のEEZ落下」が示す日本の盲点 思い描いている価値観とかなりギャップがある

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台湾を訪問したアメリカのペロシ下院議長(写真:ブルームバーグ)
アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問を機に、台湾周辺の海空域を舞台とした中国による大規模演習がおこなわれた。4日に発射した弾道ミサイルのうち、5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に落下するなど、「台湾有事は日本有事」ということが改めて鮮明になったともいえる。今回の中国の行動から日本が学ぶべきことは何か。中国防衛駐在官(駐在武官)も務めた、自衛隊きっての中国ウォッチャーが解説する。

中国の大規模軍事演習が示唆すること

今回の軍事演習は、海上封鎖、空爆、強襲上陸などさまざまな軍事作戦が、陸海空、ロケット軍などあらゆる軍種を動員して行われた大規模な軍事演習だった。また時期を前後して、台湾に対する大規模なサイバー攻撃も行われている。

中国の国内報道にみられるその順調な演習活動から類推すれば、今回の大規模軍事演習は、従前十分に練られた計画であることが容易に想像できる。この軍事演習が、中国が台湾を武力統一する場合に採用するであろう軍事作戦計画の1つの雛型であることは間違いないだろう。

中国国防大学教授の孟祥青少将は、今回の軍事演習によって中国の統合作戦能力、指揮管制能力の向上が明らかになったことを誇っている。当然、周辺海空域に展開しているアメリカ軍は今回の演習を通じてさまざまなデータや教訓を収集できたのではないだろうか。

一方で、今回の台湾周辺で展開した中国の大規模軍事演習は、アメリカ軍のみならず、われわれ日本社会にも大きな教訓を示唆している。具体的には、現代日本社会の思い描く価値観とかなりギャップのある価値観・思考体系を中国が有していることを、否でも応でも直視せざるをえなくなったということだ。

そのギャップの1つ目は、武力の行使、威嚇に対するハードルの低さである。

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