空き家問題、移住希望者いるのに解決せぬ根本理由 空き家情報サイトの運営から見えてくるもの
この相談員は、自治体から業務の委託を受け、空き家の所有者や将来的に空き家になりそうな物件の所有者から相談を受ける。必要に応じて不動産事業者とも連携を取り、その地域性に合った空き家活用の道を模索する。
LIFULLは2019年5月から「空き家の相談員」の育成を手掛けており、座学や現地でのフィールドワークを開催してきた。リフォーム事例や空き家の管理方法から法的解決事例、近隣対策まで、あらゆる課題に対応する人材育成を図る目的だ。
井上氏が続ける。
「空き家の所有者で相談に来る人の多くは『自分が何をしたらいいのかわからない』と言います。そんな人たちに助言を行い、自治体の相談業務の負担を減らす。実は、こうした実務の蓄積こそが、空き家問題の解決への一歩となるのではないでしょうか」
移住者に地域のマンパワーになってもらう
LIFULLは、より踏み込んだサポートを行うために、全国の相談内容とその回答をデータベース化した。類似の相談に対する回答や窓口運営のノウハウを整理して共有していくWebサイトも提供している。
井上氏は空き家活用の経済圏を作る必要性を訴えたうえで、「空き家の利活用で地方移住を推進するには、移住希望者へ実際に住んでもらえるよう、自治体が移住希望者にアプローチできる仕組みが必要だ」とした。
コロナ禍によるテレワークの拡大で、地方移住の条件は整い始めた。それも踏まえて井上氏が話す。
「地方へ移住を考えている人は一定数います。ただ、どうして地方移住が進まないのか。移住後に地域になじめない、仕事が合わないといったミスマッチのおそれがあるからです。地方へ移住してもらうだけでなく、いかにその地域のマンパワーとなってもらうか。空き家再生のカギはここにあります」
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