空き家問題、移住希望者いるのに解決せぬ根本理由 空き家情報サイトの運営から見えてくるもの

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内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が2021年5月に公表した報告書によれば、東京圏在住者の49.8%が「地方暮らし」に関心を持っていることが明らかになっている。

一方、民間のシンクタンクであるパーソル総合研究所が2022年3月に公表した「地方移住に関する実態調査」によると、地方県への移住意向がある就労者(2998人)のうち51.3%は、何らかの不安があって移住に踏み切れずにいる状態にあることがわかった。

この調査では、移住を検討する際に最も重視するのは「日常生活での買い物に不便がない」(76.4%)、「地域の医療体制」(75.0%)、「街並みの雰囲気の良さ」(72.2%)の順となった。

移住者マッチングサービスを昨年スタート

LIFULLは地方移住マッチングサービスの「LOCAL MATCH」を2021年5月にリリースした。

このサービスは①地域の仕事情報や体験宿泊、イベント開催、相談サポートに関する情報の提供、②登録ユーザーと自治体・地域企業間でメッセージのやり取り、③地域の実情を知ってもらうことを目的としたオンラインイベント「LOCAL MATCH TALK」の開催などを実装している。

サービス開始から1年あまり。手応えはあったのか。

「まだ1年ですから、これといった大きな実績はとくにありませんが、5年後、10年後に地方と移住希望者をつなぐ一大サービスになっていればいい。行政同士の協働もそうですが、今後は柔軟な対応ができる民間との連携が必要となってくるでしょう。空き家問題を機に、官民共に一つの社会課題の解決に取り組みたいですし、そのモデルケースとなりたいですね」

取材:板垣聡旨=フロントラインプレス(Frontline Press)所属

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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