空き家問題、移住希望者いるのに解決せぬ根本理由 空き家情報サイトの運営から見えてくるもの

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「LIFULL HOME’S」の空き家バンク(写真:板垣聡旨)
空き家問題が年々深刻化している。総務省の直近データによると、2018年10月時点で全国の空き家率は13.6%となり、過去最高だった。このままのペースでいくと、2033年の空き家率は30%を超え、3軒に1軒が空き家になるとされる。
この状況をどう解決していくのか。不動産情報サービス、LIFULL(ライフル)社長の井上高志氏(53)は、情報の的確な提供が最重要だと言う。「空き家の見える化と人材開発をしなければ課題解決にはならない」とする、その真意とは。

自治体の情報提供の方法がバラバラだった

不動産情報サイト「LIFULL HOME'S(ライフル ホームズ)」を運営するライフルは、今年で設立25周年になる。空き家問題にも早くから取り組み、2017年9月から「LIFULL HOME'S 空き家バンク」を提供している。

これは、全国の空き家や空き地の情報を一括して検索できるサイトで、国交省のモデル事業に採択された。空き家バンクのモデル事業としては、ほかには競合のアットホームが運営するサイトしかない。

LIFULLのサイトは、各自治体が個別に公開している空き地・空き家の情報を一元化してユーザーに提供し、物件の利活用を促進する狙いだ。自治体に対しては物件の情報を登録、編集、公開するシステムを無償提供している。

井上氏は言う。

「創業時から社会課題をビジネスで解決していく経営を続けています。空き家問題の解決には多額の税金が投入されてきたものの、国の政策が有効打となっていない。だからこそ、そこにビジネスチャンスがあると思い、まずは空き家の見える化を図りたいと考えました」

空き家バンクの全国版ができる前、自治体の対応は千差万別だった。情報提供の方法すら統一されておらず、使用されているフォーマットもWord、Excel、PDFとばらばら。関連情報を提供する自治体のWebサイトも仕様がすべて違っていた。

「使い勝手が自治体ごとに異なり、空き家を探そうとする利用者には不便な状況が続いていたのです。そんな状況を解決したいと考え、私たちから国交省に全国版空き家バンクの展開を提案しました」

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