空き家問題、移住希望者いるのに解決せぬ根本理由 空き家情報サイトの運営から見えてくるもの
空き家の問題は深刻だ。新築住宅数は増加傾向にありながら、世帯数は減少している。総務省が5年ごとに実施している住宅・土地統計調査の最新版によると、2018年10月時点で全国には空き家が846万戸あり、2013年から26万戸も増えた。
空き家率も13.6%となり、1963年の調査開始以降、最も高い割合になった。この調査を元に野村総研が描いた将来絵図によると、空き家の撤去や再利用がなく、このままのペースでいくと、2033年の空き家率は30%を超えてしまい、「3軒に1軒は空き家」という時代がくる。
2015年の特別措置法では一定の基準を満たした場合、自治体が強制的に空き家を除却できる制度が生まれた。2019年には、空き家対策のために33億円の国費が投入された。そうした対策はその後も継続しているが、空き家問題は一向に好転していない。
空き家利用者の家計や事業のサポートが不可欠
LIFULLの空き家バンク利用者は、25~45歳が中心だ。移住目的のほか、趣味のためのセカンドハウス、あるいはシェアオフィスやゲストハウス、カフェといった事業に活用する場合もある。
しかし、空き家の再利用を促す情報提供だけでは、問題の根本は解決しないと井上氏は言う。なぜなら、空き家問題は住宅に人が住み続けてこそ解決に向かうのであり、そのためには空き家利用者の家計や事業をサポートする仕組みが欠かせないからだ。
「空き家はうまく使えば、地方創生のカギとなります。その地域の経済が活性化していなければ、空き家利用者もすぐ出ていってしまうでしょう。地域も潤いません」
そのため、LIFULLはカフェなどを手掛けたいといった事業案が移住者にある場合、それが円滑に進むよう支援する仕組みもビジネスとして手掛けている。
1つは、子会社のLIFULL Investmentが2018年11月に創設した「LIFULL地域創生ファンド」。LIFULLは有限責任組合員としてファンドに出資している。
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