新型クラウンの出ばなをくじいた出荷遅れの正体 トヨタから「品質確認」通知、EVリコール影響か
さらに、ワールドプレミア開催2日前の7月13日。トヨタが販社宛に送った文書には、「生産準備を進める中、品質確認に時間を要することがわかり、大幅な出荷時期の延期となる見通し」とあった。トヨタはワールドプレミアで「2022年秋頃に発売」と発表したが、具体的な出荷開始時期は販社に示していない。
販社側は戸惑いを隠さない。7月5日にはトヨタから販社側に車両の価格も示されていたため、販社の中には顧客との商談を始めていたところも多い。ワールドプレミア開催直後の3連休で商談を加速させる絶好の機会だったが肩透かしになった形だ。7月末の土日に予定していた各販社での店頭発表会も中止になった。
「久々の明るい話題だったのに」
あるトヨタ系販社社長は「お客様の中には実物を見て決めたい人もいる。商談を進めるためにも、少しでも早く車を出荷してほしい。品質確認であれば致し方ないが……」と肩を落とす。販売店店長は「半導体不足で納車遅れや受注停止が起きている中、新型クラウンは久々の明るい話題だっただけに残念」と話す。
出荷開始遅れの理由とされる「品質確認」とは何か。前出のトヨタ系販社社長は「トヨタの営業担当からハブボルトの品質確認と聞いている。『bZ4X』のリコール(回収・無償修理)が影響しているようだ」と明かす。bZ4Xはトヨタが国内で5月に発売したばかりの電気自動車(EV)。兄弟車のSUBARU「ソルテラ」と併せ、リコールを国土交通省に6月23日に届け出た。
急旋回した際などにタイヤを取り付けるハブボルトが緩み、タイヤが脱落するおそれがあるという。ただ、設計段階か製造段階かを含めて不具合の原因は特定されておらず、「品質重視のトヨタでリコール時に原因が特定されていないのは極めて異例」との驚きの声が販社から上がる。
新型クラウンもbZ4Xと同じハブボルトによる締結方式を採用しているが、トヨタはクラウンの出荷開始遅れとbZ4Xのリコールの関連性については言及を避けた。チーフエンジニアの皿田明弘氏は、「ハブボルトも品質確認の項目の一つに入っている」と述べるにとどめた。
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