妻に「お母さん役」を求める日本の夫が生む断絶 結婚25年でも仲良しの夫婦に秘訣を聞いてみた

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リオのカーニバルにてパレード出発前のご夫婦
2017年、リオのカーニバルにてパレード出発前のご夫婦。参加チームはリオのトップチーム・ポルテーラで、妻Kさんはダンサー、夫Mさんはバテリア(楽器)。この年、見事に優勝した。2人はポルテーラの日本支部としても活動している(写真提供:Kさん)

今回のマンガを読んで、「夫婦共にサンバ? サンバって若い女性だけがやるダンスだと思ってた!」と思った人もいるのではないでしょうか。

実はサンバでは男性ダンサーも多くいて、ダンスのほかにも楽器、歌、作詞作曲、装飾(巨大山車造りや衣装)、などさまざまなパートで協力し合って作る総合芸術なのです。

ダンサーも女性パートだけではなく子どもパートもあり、チーム内で出会って結婚して子連れで練習にきて……なんてこともよくある話。親子三世代にわたって所属する人もいる多様性のあるコミュニティー、それがサンバチームです。

そのうえ、ただのお祭りではなく、1年がかりで準備と練習をしてテーマ表現などを競う、真剣なチーム競技でもあります。現在は新型コロナのためサンビスタたちは苦難を強いられていますが、実はカップルや家族共通の趣味に最適なのがサンバなのです(と、熱く説明するのは、実は筆者もかつてサンバチームに所属していて、この夫婦とは同じチームだったからです、笑)。

ちなみに、自他共に認める愛妻家でやきもち焼きのMさん。「日本の男性でやきもち焼きだと、恋人や妻には、露出の高い格好でほかの男性の前に出ないで、という人もいる。そういう嫉妬はないんですか?」と質問したところ、

「日本人でもブラジル人でもサンバ衣装の着方に2通りある。単に体を見せたいのか、ダンスを見せるための、ブラジル文化への尊敬を感じるきちんとした着方か。彼女は後者で、だから問題ない」

とのことで、そこにもなるほどと思ったのでした。

産後のママが悲鳴をあげるのは日本のあるある

さて、話は戻って日本人男性が妻に「女性」よりも「母親」を求めがち、という指摘。確かに、産後のママが「子どもの世話をしないといけないのに、夫の世話がいちばん手がかかる! 大きい子どもがいるみたい!」と悲鳴をあげるのは日本のあるあるです。次回以降に紹介しますが、このご夫婦は家事育児分担でも満足度が高く、それも夫婦仲のよさにつながっているのです。

というわけで、今回のつかれないヒントは……

産後に妻が冷たくてつかれた

妻はあなたの「お母さん」ではないので、
育児でバタバタであなたの世話や優しくする余裕がないのかも。
妻が求めているのは「息子」ではなく、
一緒に家事育児をする「夫」なのかもしれません。
この連載にはサブ・コミュニティ「バル・ハラユキ」があります。ハラユキさんと夫婦の問題について語り合ってみませんか? 詳細はこちらから。
ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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