中国が日焼け止めを「隔離クリーム」として売る訳 国や地域に合わせたブランド表現が成功のカギ
もちろん、商品そのものの進化もありました。かつての洗剤は、両手で抱えないといけないほど大きく、一度洗濯をするだけでも消費者には大きな負担でした。
ところが、昭和後期に発売されたアタックは、従来の4分の1ほどのコンパクトな箱で、計量スプーンもついている。買い物も楽だし、置き場所にも困らない。スプーン1杯という目安も使い勝手がいい。
これまでの消費者の悩みごとを丸ごと解決してくれる商品の魅力をあますところなく伝えたのが、「スプーン1杯で驚きの白さに」だったというわけです。
日本にはこのように、商品力が高く、マーケティングで成功したヒット商品がたくさんあります。海外においても、消費者のニーズを的確に捉えて、それを土台にして、ブランドを調整する「ブランドカルチャライズ」を実行すれば、日本のブランドは十分に海外でも成功できるチャンスがあるのです。
真のブランドは消費者の頭の中で形成
ブランドを海外へと届けていくうえでは、ブランドの定義も押さえておくことが大切です。
ブランドとは、牛に押す焼印が由来とされています。焼印を押すことで、その牛がほかの牛とは違う、固有のものであると識別するために使われていたわけです。
転じて、モノやサービスに対しても名前がつき、固有なものとして識別されるようになれば、それはブランドということになります。
現代では「ブランドもののバッグ」などといいますが、高級なものに限らず、清涼飲料水であれ、文房具であれ、固有に識別できるモノやサービスはすべて、ブランドに該当するのです。
では、誰もが知る有名ブランドとそうでないブランド、その違いはどこにあるのでしょうか。答えは消費者の頭の中にあります。
例えば、Appleというブランドは世界的に見ても多くの人が知っているブランドの1つです。皆さんもAppleと聞くと、iPhoneやリンゴのシンボルマーク、創業者のスティーブ・ジョブズ氏などをイメージできるのではないでしょうか。人によっては革新的、デザインが良いなどのイメージを持たれるかもしれません。
こうした良いイメージを持つ人が多ければ多いほど、ブランドは強くなります。Appleが新商品を出せばきっと革新的な商品が出るのだろうと期待しますし、多少価格が高くても手に取る可能性は高くなります。
反対に、もしブランドに何のイメージもなければ、手にとっていただく可能性も、購入していただく可能性も低くなってしまうのです。
この消費者の頭の中にある記憶を、ブランドを資産という意味から「ブランド・エクイティ」と呼びます。
国内、国外問わず、ブランドを届けていくマーケティングプロセスである「ブランドカルチャライズ」は、ターゲットとなる消費者がブランドの良い記憶を持つよう、ブランド・エクイティを育成していくことにほかなりません。
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