中国が日焼け止めを「隔離クリーム」として売る訳 国や地域に合わせたブランド表現が成功のカギ

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日本と海外のマーケティングを左右する、普遍的な特徴について解説します(写真:タカス/PIXTA)
日本の市場は成熟し、インフレやコロナが追い討ちをかけるなか、海外にビジネスチャンスを求める人は少なくありません。こうして日本の商品やサービスを海外展開しても、日本のような成功への道は描けないことが大半です。そのなかで大切になるのは、海外の知覚に合わせて商品やサービスを調整していく「ブランドカルチャライズ®︎」というマーケティングプロセスです。
著者の久保山浩気氏、川崎訓氏は、海外マーケティングのカギは「消費者の知覚理解にある」と主張します。この記事では2人の初の著書『ブランドカルチャライズ―あなたの商品を海外に届けるマーケティングの技法』から、海外マーケティングを成功させるためのヒントを、3回にわたってご紹介します(今回は1回目)。

マーケティングが得意な国と、そうでない国には、1つの特徴が見られます。それは「文化的な多様性」の違いです。

一般的に、文化的な多様性が高い国ほどマーケティングが強く、そうでない国ほど弱い傾向が見られます。

海外マーケティングを難しくする要素

そもそもマーケティングは、文化的なバックグラウンドを踏まえたうえで、年齢や性別、職業、住んでいる地域など、ターゲットを属性で絞ってから展開していきます。人種も属性の1つに当たります。

日本語を話し、読み書きをし、同じ文化の中で生活している私たち日本人は、文化の多様性が低い国に該当します。私たちが商売をするのは、自分と同じ日本人を相手にしているので、まったく違う文化を一から学ぶような必要もありません。

もちろん、日本にも多様なバックグラウンドを持つ方は少なくないですが、マーケットとして見ると小さく、商品やサービスを売る際には、その人たちに向けたマーケティングを経験する機会は多くはないのです。

このように見ると、海外と比べて「日本人はマーケティングが苦手」と考える人がいます。ですが、決してそんなことはありません。

あくまで日本と海外とでは、文化的な多様性によるマーケティングの基本動作が異なるだけなのです。

国内マーケティングを成功させたコピー力

「スプーン1杯で驚きの白さに」

このコピーは、1987年に花王から発売された洗剤「アタック」のものです。これは現在のパッケージにも使われていますが、発売当時、このワンフレーズでマーケットのシェアを取ったといっても過言ではないほど大きなインパクトを与えました。

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