本物の戦略立案者は自社でなく世の中・新を見る 「経営戦略の実戦」シリーズ464事例から考える

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「経営戦略の実戦」シリーズ464事例から、経営者、戦略立案者の着眼点を知る(写真:FreedomZ/PIXTA)
偉大な経営者たちの着眼点を知り、日本経済を牽引してきた110ケースについて学ぶ『企業成長の仕込み方』がこのほど出版された。本書を含む『高収益事業の創り方』『市場首位の目指し方』の全3巻『経営戦略の実戦』シリーズ464ケースに著者が込めた狙いとは。シリーズ序文を抜粋し、2回に分けてお届けする。本シリーズの執筆背景に触れた 前編に続き、後編となる本稿では、本シリーズの5つの特徴を述べる。

特徴1 多数のケースを結びつけ、メソッドを進化させる

このシリーズは帰納法を採用する。すなわち、一定の基準を満たすケースを吟味して、共通点を抽出し、そこから経営戦略の理論を導いていく。ただし、事業や地域や時代に戦略が依存することは許容して、高度な普遍性は求めない。

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これは、部分集合において成立する局所普遍性に重きを置くと言い換えてもよい。収録するケース数が異様に大きくなる点は、真理に近づくための代償と理解していただきたい。

産業組織の経済学に基づいて演繹法を採用したマイケル・ポーターは、自らの理論を例証するためにケース一握りを都合よく引用した。

その点は『エクセレント・カンパニー』と『ビジョナリー・カンパニー』も同じで、建前上は帰納法を採りながら全優良企業に共通する特徴に拘泥したので組織文化しか語ることがなくなってしまった。

その組織文化をもってしても、全ケースの説明には窮したので一部ケースの誇張に終始したものと思われる。このシリーズで採択するアプローチは180度逆で、あくまでも選ばれたケース群が先に来て、理論は後から姿を現す。

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