YouTube「NG動画」どの規約で締め出されるのか 過激、危険、中傷…プライバシー侵害にも注意

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いわゆる過激動画は、YouTubeの規約上、さまざまな箇所で警戒されています。「怪我につながるチャレンジ」は年齢制限の対象、「衝撃的なコンテンツ」は削除の対象ですが、これらの線引きは明確なものではありません。こうした動画は投稿しないほうが安全でしょう。

個人情報についての規定

Q:個人情報やプライバシーについては、どのようになっているのでしょうか?

A:YouTubeの各種ポリシー等にある「プライバシーとセーフティセンター」「プライバシー リソース」の「個人情報の保護」に、その規定が定められています。その中の「プライバシー ガイドライン」では、下記の基準が示されています。

・個人を一意に特定できる場合、当該コンテンツは削除の対象になる
・ コンテンツをプライバシー侵害によって削除すべきかを判断する際に、公共の利益や公知性も考慮される
・ 一意に特定できるとは、他人が個人を特定するのに十分な情報が動画に含まれていることを意味する。単に動画に写っている個人が確認できるだけでは、一意に特定できるとは見なされない。例えば、下の名前だけで他の情報が含まれない場合や、チラッと映っているだけでは、一意に特定できるとは言えない
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これは、日本のプライバシーに関する法的な考え方と同じようなものと言えます。

「個人を一意に特定できる場合」に直ちに動画が削除対象となるというのは、厳しい基準であると言えます。

もし、動画に写っている人からプライバシー侵害の通知がなされた場合、動画投稿者には違反の疑いがあることを通告するメールが送信され、申し立てに対処するまでに48時間の猶予が与えられます。動画が48 時間以内に削除された場合、申し立て手続きは終了しますが、48 時間経過後もYouTube 上に動画が残っている場合、運営側によって、確認作業が行なわれ、プライバシー侵害だと判断されると、動画の削除などが行なわれてしまうため、素早い対応が必要です。

河瀬 季 モノリス法律事務所代表弁護士

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かわせ とき / Toki Kawase

ITエンジニア、IT企業経営を経て、東京大学大学院法学政治学研究科を修了し、弁護士資格を取得。東証プライム上場企業からシードステージのベンチャーまで、100社以上の顧問弁護士を務める他、YouTuber、VTuberなど多くの動画クリエイターらをクライアントに持つ。イースター株式会社代表取締役、 oVice株式会社監査役、株式会社TOKIUM最高法務責任者。JAPAN MENSA会員。著書にNHK土曜ドラマ「デジタル・タトゥー」の原案となった『デジタル・タトゥー』(自由国民社)、『ITエンジニアのやさしい法律Q&A』(技術評論社)など。モノリス法律事務所YouTubeチャンネル「YouTuberが並ぶ法律相談所」を運営。

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