多い?少ない?鉄道会社の「CO2排出量ランキング」 他交通機関からのシフトで削減負担が減らない

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各社ともCO2排出量の削減に向け、軽量化されたステンレス車両やVVVFインバータ制御システムを搭載した電車などを導入したり、燃費効率を改善したディーゼル車を導入したりするなどの対策に躍起だ。JR東海の最新の新幹線車両N700Sはかつて東海道新幹線で主力だった300系と比べ、電力消費量を28%減らしている。JR東日本は蓄電池車両を営業運転するほか、燃料電池車両も開発して試験走行を続けているが、これ以外にも、もともと自社で水力発電所を運営しておりその再生エネルギーを活用しているほか、太陽光や風力発電プラントなども開発していきたいとしている。

多くの鉄道会社が2013年度比でCO2排出量を2030年度に半減させ、2050年度に実質ゼロにするという目標を掲げている。2050年度CO2実質ゼロは国の目標でもあり、各社ともあの手この手で取り組んでいる。

省エネ車両の開発だけでは達成が難しく、無謀な目標のようにも思われるが、そこには再生可能エネルギーを購入して、その電力を使って運行するといった施策も含まれる。東急は今年4月、東急線全路線について再生可能エネルギー由来の電力100%で運行開始したと発表した。鉄道運行における実質的なCO2排出ゼロを達成したことになる。

CO2排出削減「鉄道シフト」の悩み

欧州では、環境意識の高まりから都市間移動を航空機から鉄道にシフトしたり、トラックによる貨物輸送を鉄道貨物に切り替えたりといった動きが盛んだ。日本ではさらにトラックドライバー不足といった要因もそこに加わる。ほかの交通モードから鉄道にシフトすることで、日本全体ではCO2排出量の減少につながるが、鉄道業界にとってむしろCO2排出量が増えてしまう。

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JR貨物も2030年度にCO2半減、2050年度にCO2実質ゼロという目標を7月13日に打ち出した。今後、トラックから鉄道へのシフトが見込まれるが、「そうした需要の増加も織り込み済み」と、犬飼新社長は強気の姿勢を示す。とはいえ、需要増で鉄道運行が増えるとCO2排出量も増える。削減のハードルが高くなってしまう。

国は環境に配慮して鉄道貨物輸送を行っている企業や商品に対して「エコレールマーク」の表示を認めている。犬飼社長は「たとえば、エコレールマークの評価を上げて、鉄道貨物を使うメリットを利用者や一般消費者が享受できる仕組みや制度があればよい」としたうえで、「さらに言えば、その結果として、そのメリットを当社がオフセットできるような制度ができるとなおよい」と述べた。CO2排出量削減に向けて、企業の努力を国が制度面で後押しできることはまだまだあるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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